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灯台下暗し 5
「じゃーねー」
上手くやれよと言わんばかりに笑顔で手を振っている有澤を見送り、橋名は心の中で彼に感謝してしまう。
本当に近々何か奢ってやらなければ。
「ふふ。有澤くんって結構面白い子だね」
沙凪と二人になって歩き出すと、彼はそんなことを言っている。
隣に並んでもやっぱりいつもと雰囲気の違う彼にはドキドキしてしまう。
「なんかちょっと妬けちゃうなぁ?二人が仲良しなの」
「えっ…」
沙凪にそんな風に言われると何故かにやけてしまいそうになる。
「何?えっ…て…」
「いや…な、なんか…
サナギさんもそんな気持ちなってくれたりするんだと思って」
「はぁ?」
「だって…俺ばっかり必死というか…そんな気がしてるから…」
昼間も市原常務と親しげに喋っている姿を見て、嫉妬して割り込んでしまったし。
自分が必死に彼を追いかける事は別に苦ではなかったけど、やっぱりどこか自信がない橋名だった。
「あのさぁ……はぁ、もういいや。後にしよう
めーっちゃお腹空いてるもん」
沙凪はどこか疲れたようにため息を溢していて、自分がガキ過ぎて呆れられたのだろうかと思いまた若干へこんでしまう橋名だった。
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