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デザート 7

「…で?なんだっけ?」 「く…ください…」 アイスをスプーンですくって口に含む。 彼の頭を掴むようにして角度を変え、上体を折って橋名の唇に口付けた。 勝手に彼の口は開いていて、すんなりとその舌を捕まえる。 バニラ味と、アイスの冷たさと、それを瞬時に溶かすような彼の舌の熱を味わって口を離した。 彼の口からはとろりとアイスで白っぽくなった唾液が溢れかけている。 「こら、こぼさないよ?」 「ん…、ごめんなさい…」 橋名は慌てて口を拭っている。 よしよしと彼の頭を撫で、沙凪は再びアイスを食すのを再開させる。 「も…もっとほしいです…」 「えー。やだ。俺のだもん」 彼は沙凪の太ももの上に顎を乗せたまま足に縋り付くようにしてくるが、 だってはーげんだっつだよ?と言いながらアイスを持った手を自分の方に引き寄せてあげない姿勢を見せてみる。 「ちが…アイス、じゃなくて…サナギさんが欲しいんです…」 普段は少し高い位置にある彼の瞳に、今は見上げられていて その大きな身体を自分の足元で縮こめている姿には、思わず目を細めてしまう。

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