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デザート 9

「…だから意地悪したくなるんだよ? 橋名くんが俺に夢中で…俺のことで頭いっぱいになって…他のこと考えられなくしてやりたいから」 沙凪は足を解いて、彼の身体を少し引っ張って膝立ちにさせると 彼を両腕で抱きしめて頭を撫でてあげた。 「お…俺はずっと…サナギさんのことでいっぱいですよ… 他のこと考えなきゃいけない時でも…サナギさんのことが過ぎって… い…今だって…サナギさんのことしか考えられない…」 少し身体を離しても、彼の身体が熱くなっている事が伝わってくる。 その余裕が無さそうな呼吸も、縋るような視線も、それでも遠慮がちにそわそわと触れてくる掌も 全部自分がそうさせているのかと思うと、もうとっくに、彼は始末におえないような欲求に応えてくれているのだと感じる。 「意地悪…されたら… サナギさんが…俺のこと見てくれてると思ったら…すごく…、嬉しい…」 何故だか、不意に泣きそうになってしまって 沙凪は小さく息を吐き出してどうにか涙が溢れないようにとぎゅっと目を閉じる。 すごくすごく、心が満たされているような心地がしているのだ。 「どうしよう…橋名くん……」 なんだか顔が熱くなって、身体もそうで、心臓が騒いでいる。 沙凪は居た堪れなくなって彼の頭をぎゅっと抱き締めるように両腕でホールドした。 「俺…橋名くんにいっぱい触って欲しい……」 「エ…?」 「橋名くんのこと以外…考えらんなく…させてよ…」 「ア……」

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