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いっぱい 1

彼の耳元で、濡れた声がそう告げてしまっている。 既にもう、彼のことでいっぱいで何も考えられなくなりかけていて 腕の中にあるその熱い肉体を全身が求めていた。 橋名は変な声を溢しながらよろよろと身体を引き剥がし、荒れた呼吸を繰り返しながら沙凪の頬に触れた。 「…、っ…サナギさん」 噛み付かれるように、歯がぶつかりそうな勢いで口を塞がれる。 舌が引き摺り出されて、呼吸もままならないくらい吸い付かれて、その逞しい腕に抱き竦められると どうしようもなく彼が欲しくなってしまう。 「ん…、ぁ、はぁ…ッ」 唇を奪われながら、簡単に身体は持ち上げられてしまって 気が付くとベッドに転がされていた。 それでも彼は口を離してくれなくて、息苦しくて、だけど離れられなくて、じわじわと目頭が熱くなって視界がぼやけていく。 「あ…、っ、はしな、くん…」 ようやく口を開放されたが、首に噛み付かれながら衣服の下に彼の手が滑り込んでくる。 服を捲り上げられて、突起に吸い付かれると全身に甘い電流が走ったみたいになってつい腰が浮いてしまう。 「っん…ぁ…、う…ぅ」 沙凪は無意識に唇に手の甲を押し付けてしまった。 口から溢れる普段と違う声は、なんだか自分じゃないみたいだったから。

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