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幸せに 1
自分一人だったらコンタクトすら外さずそのまま寝てしまっていたかもしれないけど、橋名は沙凪を風呂にぶち込んでくれて
髪の毛も乾かしてくれたし、ベッドも綺麗に整えてくれて
人間として違いすぎるんだよなと思いながらも、存分に彼に甘える事にした沙凪だった。
「俺なんか…橋名くんに飼われてるみたい…」
ベッドに横になってその胸に顔を埋めさせてもらっていると、自分が犬にでもなったような気分になってしまう。
何をするでもなくお世話をしてもらってなんでも言うことを聞いてもらえて、守ってもらえて。
普通は逆が多そうな感じもするけど。
「…う…すみません……なんかどうしてもつい…色々したくなって…」
「んーん。俺はね、橋名くんに色々してもらえると嬉しいんだ
普通に助かってるしさ」
「嫌じゃないですか…?」
「全然?俺甘えるの好きみたい…」
沙凪はそう言いながらも彼の胸に頬を押し付けて微笑んだ。
Domだし、甘えさせなきゃと思ってた。
望むものをあげなきゃって。
橋名が望んでいる事は確かにSubらしくはないのかもしれない。
だけど、内容はどうあれ奇跡的に噛み合っているような気がしてしまう。
「なんか…すっごい相性いいかもねー?俺達」
沙凪はそんな事を言いながら、ぎゅう、と橋名に抱きついた。
付き合ってって、言ってみようかな。
ふ、と頭の中に過った言葉にはちょっとだけ億劫になってしまう。
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