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マ●ンクラフト

マイ●ラ初心者の攻。 地面の亀裂から地下へ落っこちた。 ライフもわずかで、さらにゾンビにも出くわしアワアワ。 そんな所を助けてくれたのは地下探索中だった受。 「僕でよければしばらく一緒に遊ぶ?」 「いいんですか!?」 受は攻に基礎を教えてくれ、攻が何かできるようになるとめちゃくちゃ褒めてくれた。 「こんなに石炭とれたの?凄い!」 「もうケーキ作れるの?凄い!」 「ウーパールーパー見つけたの?凄い!」 特に、昆布を簡単に収穫・回収する装置を作った時、受は大歓声で褒めてくれた。 「君は天才だよ!!」 攻はさらに回路を勉強し、様々な装置を受に披露した。 その度に受は褒めてくれた。 もっと大規模な装置を受に見せたくなった攻。 攻は受に見せるための大掛かりな装置を考案した。 しかし大規模すぎて1人で作るには時間が掛かりすぎる。 攻はSNSで人を集めることにした。 攻の設計に興味を持った人達が集まり、工事に着手した。 人を使うというのは大変だ。それでも集まった人達の協力を得て、工事は着々と進んだ。 装置が完成し、嬉々として受を呼びにいく攻。 そう言えば、受に会いに行くのはひと月ぶりだ。 しかし、受の家に行くと誰もいなかった。 すぐ戻るかと思い、釣りをしながら待ち、5回目の夜を越えたところでやっと受が帰ってきた。 だが、隣には知らない男が…。 「アハハ、もう僕、荷物いっぱいだよー」 「エメラルド沢山とれたね。受と一緒に行ってよかったよ」 楽しそうに話す二人を呆然と見つめる攻。 「お?攻じゃないか!久しぶり〜」 「え!『攻』ってあのビギナーなのに凄い回路マスターだって言われてる、あの攻さん!?」 知らぬ男が驚いたように話しかけてくる。 「そうなんだよ〜。彼は僕が基礎を教えたんだよ!」 「マジで?! 『丁寧な暮らし』で回路を作らない主義の受が師匠とは意外!」 「アハハ、そうなんだよ」 そう笑う受に攻は頭が真っ白になった。 「俺……今日は抜けます」 攻はそう小さく告げると、受の返事も聞かずログアウトした。 そして、攻はその後、ログインしなくなった。 ――丁寧な暮らし。 受の趣味とは真逆に進んでしまったのだと、攻は今さら気づいたのだ。 数ヶ月が過ぎた頃。 突然、SNSに届いたDM。 『受です。一度話さない?ログインしてよ』 もう忘れられてると思っていた受からの誘い。ためらう気持ちもあったが、拒否できずに攻はログインした。 「やあ。来てくれて嬉しいよ。もう辞めちゃったの?一緒に装置作ってた人たち、皆待ってるみたいだよ」 「俺は…俺は!」 感極まり攻は、ク●ーパーさんのように爆発した。 「あなたに褒めて欲しくて、装置を作ってただけだ!あなたが装置に興味がないなら、作る意味なんてない!!」 「バ、バカヤロー!」 ガッ! あの温厚な受が、石の斧で攻を殴ってきた。 「う、受さんっ?!」 あまりの出来事に驚く攻。 受がスローライファーなのが幸いだった。ネザーライトの斧だったら即シだった。 「人のせいにするなよ!僕となんているより、ずっと楽しかったんだろう?!」 「そんなこと…!」 「1ヶ月も会いに来なくて、僕のことなんて忘れて、仲間に囲まれて、『神だ』って言われてさ!」 「受さんっ…!」 攻が顔を見せない期間、受は寂しく思ってくれていたのだ。 感極まる攻め。 「あ、あの!僕の作った装置、見てください!受さんに見て欲しくて作ったんです!」 攻が必死にそう頼むと受はこくりと頷いた。 その装置は羊を育てつつ採取した16色の羊毛で、160チャンクに渡り虹を描く装置だった。 「な、なんて無意味な装置なんだ…!」 メーメーと羊が鳴く中で受が愕然としたように呟いた。 「でも凄い。やっぱり凄いよ、攻は!!」 「受さん…」 受に石の斧で殴られ、攻は気づいたのだ。 「受さんの言う通り、俺は作ることを純粋に楽しんでました。でも、受さんに褒めて欲しいと思ったのも本当なんです!また何か作ったら見に来てもらえますか?」 攻が正直な思いを伝えると、受は静かに微笑んだ。 「私は森で、攻はタタラ場で暮らそう。ともに生きよう。会いにいくよ。ラクダに乗って」 完

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