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第4話

電車に揺られながら木葉は酷く憂鬱だった、そこそこ混んだ車内は時折強い揺れが来ると人とぶつかりそうになった。 電車はあまり好きではないけど、移動手段がこれしかないとなると文句も言ってられない。 変な汗かいてきた… 車内でもフードを外さない木葉を、周りは不思議そうにちらちらと伺っていた。 その視線に木葉は気づいていて、周りを見ないように下を向く こんな髪色じゃなければ、それも全部あいつのせいだ。 木葉の髪は、少し黒の部分が残っているがほぼ白髪だった 父親からの虐待によるストレスから気が付けばそんな髪色になっていて、それをあいつは芸術だとか言って、切らさせず逃げ出す直前は腰まで届く長さになっていた。 だから、逃走して真っ先にしたのは髪を肩の長さまでだが切ったことだ。 折角逃げてきたのにどこまでもあいつの影がちらついて胃がきりきりする その時丁度止まった知らない駅で下車した、ずっと視線に晒されるのは堪らなかった 外は、鉛色の雲が頭上に浮かんでいて、今にも雨が降りそうだ。 「まじかよ」 こういう日は暗くなるのも早い、今日は金もあるしホテルを探すか

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