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第8話
シャボン玉が割れるように目が覚めた。
意識が覚醒するまで数秒を要し、見知らぬ中年の男に襲われていた事を思い出せば、腕に手錠やら紐が掛けられていないかを確認する。
幸い、何の痕もない
ほっと息をついてから部屋を見渡すとまず目に入ったのは小汚ない部屋で次に黒いソファに寝そべるこれまた見知らない男が居た。
「誰だよこいつ」
男の顔をまじまじと見たが全く会ったこともない男だ、俺を襲っていた男とも違う
男は眉間に皺をよせていたが色白で端正な顔立ちをしていた。
右目の下に泣きぼくろがあり唇は薄めで、いかにも女性にモテるであろう見た目で、組んでいた腕は細身だがしっかりと筋肉がついていて、着ている黒のシャツも見事に似合っている
年齢は25歳くらいだろか?
何で見知らぬおにいさんと俺が同じ部屋に…というかここホテルでもないな
部屋は、床に散らばった本や洋服、テーブルには食べ終えた茶碗などが広げられている辺りから、だらしない性格が見て取れる。
中には女ものの下着とかもあった。
どうでも良いけど片付けろよ
「くぁ…ぁふ、ガキ起きたか」
のそりと毛布から出ようとしたら男が目覚めてしまった、思わず咄嗟に身構えたが男は大きな欠伸をしてからじーっとこちらを見るばかりだ。
「な、なんだよ」
「あー、お前気失ってたしなぁ。わかるわけ無いか、まぁ言うなら恩人てとこだな」
男は起き上がると頭を掻きながら豪快な欠伸をした。
それから男はまた俺の顔をまじまじと見つめ、うんと頷いた。
「いやぁ、お前男なんだな驚いたぜ外でしかも雨のなかで男二人が盛ってるもんだからよ。
しかも片方は鼻息荒く気失ったお前を連れて帰ろうとしてたし、なーんか嫌な予感がしたから声かけたら慌てて逃げるしよ。危なかったぞお前」
「助かった…すまない。それで見返りはどうすればいい」
「あー?そんなもんいらん。
どうせ金だってねえのにどうするっていうんだよ
俺は因みにノーマルだからな」
「…何もいらないのか?」
「そう警戒すんな、ていうか風呂沸かしてやるからそれまでそこら辺の適当な服着とけ。」
「…」
正直床に散らばった洗濯しているかもわからない服を着るのには抵抗はあったが好意には甘えておこうと思った。
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