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第12話

朝いつも通り目覚めてすぐにお見合いのことを思い出し、スマホを取り出した。 誰か送っていくのかわってくれないかな。 変わったら変わったで身勝手に落ち込むんだろうけど。 “おはようございます。 今日は午後6時からお見合いのため 5時に伺います。” ‏”分かった“ 何か言われるかと思ったが了承がはやくて、良かったと思うと同時に寂しさも感じた。 きっと、このままいけば結婚なんかすることになるのだろうか。 頭をふって、ベッドに寝転んだ。 いつの間にか眠っていたらしく、目を覚ますともう4時過ぎだった。 焦って急いでスーツを着込む。 社長の部屋の前に立ったのはぴったり10分前。 安心して、部屋に入るとすでに社長は服を着替えていた。 いつもと違うオールバックがかっこ良かったけど、お見合い相手のためにしているのだと思うと少し複雑だった。 「少し遠くなので、そろそろ出たいのですが」 「それじゃあ、行こうか」 車の中ではどちらも喋らず、沈黙が気まずかった。

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