35 / 123

第35話

シャワーを浴び終わりシャツに腕を通しスーツを着ると、やっといつも通りの自分に戻れた気がした。 社長の部屋の前まで来ると、変な緊張感。 無視して、寝室へ向かった。 「社長、朝です。起きてください」 今日は伸ばされた手を避けれず、キュッと眼を瞑る。 でも、時間が経っても唇に何かが触れることはなく、そっと眼を開けた。 「おはよう、魅弥。」 腰に回っていた手で、社長の方へ引き寄せられ、抱きしめられた。 「ちょっ、社長?何してるんですか?」 「昨日は魅弥と寝たのに朝起きたら、隣に誰もいないのは寂しい。魅弥は、いい匂いがするな。」 いつもは上にある社長の頭が腰のあたりにあり、見下すのは少し変な感じだけどなぜかかわいい。 上目遣いなんていい年して何してるんですかって言いたいけど、無駄に似合っている。 「それより社長、早く起きてください。お仕事に遅れます。」 「今日は出かける、一緒に。」 急に言われ戸惑う。 「何言ってるんですか?そもそも社長がお休みになると書類がたまりますし、それを代行できる私も休むとなれば、社員達が困ります。お一人で行かれて大丈夫ですよ。」 「ほとんど昨日仕上げたし、今日の分は華弥に頼んだ。」

ともだちにシェアしよう!