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第35話
シャワーを浴び終わりシャツに腕を通しスーツを着ると、やっといつも通りの自分に戻れた気がした。
社長の部屋の前まで来ると、変な緊張感。
無視して、寝室へ向かった。
「社長、朝です。起きてください」
今日は伸ばされた手を避けれず、キュッと眼を瞑る。
でも、時間が経っても唇に何かが触れることはなく、そっと眼を開けた。
「おはよう、魅弥。」
腰に回っていた手で、社長の方へ引き寄せられ、抱きしめられた。
「ちょっ、社長?何してるんですか?」
「昨日は魅弥と寝たのに朝起きたら、隣に誰もいないのは寂しい。魅弥は、いい匂いがするな。」
いつもは上にある社長の頭が腰のあたりにあり、見下すのは少し変な感じだけどなぜかかわいい。
上目遣いなんていい年して何してるんですかって言いたいけど、無駄に似合っている。
「それより社長、早く起きてください。お仕事に遅れます。」
「今日は出かける、一緒に。」
急に言われ戸惑う。
「何言ってるんですか?そもそも社長がお休みになると書類がたまりますし、それを代行できる私も休むとなれば、社員達が困ります。お一人で行かれて大丈夫ですよ。」
「ほとんど昨日仕上げたし、今日の分は華弥に頼んだ。」
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