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第38話

いつの間にか寝てしまっていたらしい。 肩を揺すられ起こされた。 「魅弥、着いたぞ。」 「すみません、寝てしまっていて。」 ここは遊園地の駐車場か。 いい年した大人が2人でこんなところに来て、大丈夫なのだろうか。 「魅弥、スーツだと目立つだろうし、ラフな服に着替えようか。」 遊園地の近くにはモールがあるらしく、そこに行くらしい。 徒歩で行ける距離なので、ふたりで並んで歩いた。 社長はジャケットでいつものスーツよりはカジュアルな服装。 ずっと黒が似合うと思ってたけど、茶色系の色もしっかりと似合っている。 贔屓目なしでもかっこいい。 モールは月曜日だからなのか、そんなに人は多くなかった。 「これはどうだ?」 見せられたのは、白のロゴT。 普段スーツしか着ないから、すこし変な感じがする。 「私が着ると変に見えませんか?」 「魅弥は顔が基本無表情だからじゃないか?それとどこか硬い。」 急に社長が俺の頭に手を持ってきて、髪をかき混ぜた。 にやっとする顔に少し見とれて、はっと気づく。 「ちょっ、何するんですか!?」 「ああ、いい感じだ。まだ若いのなら、もう少し砕けてもいいんじゃないか?」 さっきの白いTシャツと黒いパンツと共に更衣室に押し込められる。

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