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第40話

何年かぶりに来る遊園地。 社長と二人きりでというのは初めてだ。 もともと、遊園地は華弥が大好きで、付いていくことがあるくらいだったから。 まだ、園内に入る前なのに、どきどきする。 それは夢の国に浮かれているからなのか、それとも社長と二人きりだからなのか。 チケットは取っておいてくれたらしく、少し申し訳なく思いながらもお礼を言った。 「魅弥はメリーゴーランドや、コーヒーカップが好きだろう?あっちのエリアに多いらしい。行こうか」 「社長は絶叫系が好きでしょう?私もそちらに乗りたいです」 メリーゴーランドとかコーヒーカップとかほとんど乗らなかったし、子どもっぽいと思ってたから言ってなかったのに、なんで知っているのだろう。 女性は細かいところに気づいてくれる人が好きと聞く。 社長のこういう所が好かれるポイントなのだろうか。 「はははっ魅弥は苦手だろう?顔が強ばっていたの、見ていたぞ。」 「に、苦手じゃないですし。」 「なら、俺がメリーゴーランドに乗りたい。付いてきてくれるか?」 「それなら……」 やっぱり優しい。 甘えさせてくれる。 メリーゴーランドなんて子供だらけだと思っていたが、月曜日の午前だからか、俺たちと同じような男同士も意外と多かった。 少し安心して、象の形に乗った。 社長は、隣でまるで本物かと思うほど優雅に馬に乗っていた。 「楽しいな、魅弥。」 無邪気な笑顔に、目を合わせられず俯いた。

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