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第41話
その後も、社長はなんでそんなこと覚えてるんだってくらい俺の好きだった乗り物に連れていってくれた。
定番の観覧車に乗ったり、パレードを見たり。
すごく楽しい時間は簡単に過ぎて、あっという間に日が暮れた。
「魅弥、今晩はホテルに泊まろうか。ここに来る時に、いいホテルを見つけた。」
「ですが、明日の朝に影響が出ませんか?」
「明日、早く出れば大丈夫だろう。」
そう言って連れてこられたホテルは、遊園地と提携しているのか、キャラクターがいたるところにいて、楽しげだった。
ボーイに案内されたのは社長らしく1番上の階。
こんな無駄な金の使い方をしてと、少し小言を言いたくなったが、窓からの景色に釘付けになった。
窓の前に立ち見下ろしていると、急に後ろから手を回された。
「社長、何されてるんですか?やめてください。」
本当は少し心地いい。
「魅弥は抱き心地がいいな。もう少しだけこのままでいてくれ。」
窓の外を見るどころではなくなり、俯いた。
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