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第44話
どうやら寝過ごしたようだ。
着いたのは一つ先の駅。
さすがに終点まで行かなくってよかったと思いながら、歩く。
今日の最後がこれってなんだか悲しくなってくる。
社長があんなこと言うから。
頭も心もぐちゃぐちゃにかき乱されるようだ。
いつもなら、好きと俺に言ったあとは冗談みたいに笑うのに、今日はずっと真顔をしていて、信じたくなってしまった。
社長が俺なんかを選ぶはずが無いか。
家について、シャワーを浴びても、久しぶりにビールを飲んでも心は晴れない。
俺をもてあそぶ社長が嫌なのか、一言一言にドキドキしてしまう自分が嫌なのか。
ため息がでる。
明日からまた仕事だ。
秘書なんて仕事だから、ずっと社長のそばにいなくちゃいけない。
また一つため息をついて、 ベッドに飛びこんだ。
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