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第46話
「魅弥おはよう。そちらは?」
いつのまにかずいぶん時間が経っていたらしく社長が出社してきた。
「プリトス社のバート・アイアンズ氏です。明日の会合の挨拶にいらっしゃいました。」
“はじめまして。神奈 玻璃です。わざわざ来て下さりありがとうございます。”
“はじめまして。急にお邪魔して申し訳ございません。魅弥さんにお会いしたくて。”
そろそろ仕事に行かないと。
“じゃあ、バート。俺は仕事があるから。明日を楽しみにしてるよ”
“じゃあな、魅弥。”
「アイアンズ氏とは親交があったのか?」
「はい。大学での友達です。久しぶりに会ったので。話が長くなりました。申し訳ございません。」
急にバートが来て、ごたごたしたから昨日のことには触れずにすんだ。
そっと胸をなでおろした。
帰り道。
静かな車の中で社長が口を開いた。
「魅弥は親父と離れたくないか」
「………」
急な質問に押し黙る。
そんなの離れたいに決まってるだろ。
でも、社長に迷惑かけたくない。
すでにたくさんかけてるけど。
「俺と付き合わないか。必ず大事にする。」
「お断りします。私は会長を愛しているので」
そんなの当然嘘だと分かっているのだろう。
社長はため息をついた。
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