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第47話
車を駐車場に止め終わると、社長が顔を上げた。
「魅弥、いつまでこんなことを続けるつもりだ?俺はお前が幸せだとは思えない」
社長に何が分かんの。
貴方と付き合ってもどうせ会長からは逃れられない。
「社長になんの関係もないじゃないですか!?なんでそんなに私と会長のことに口を出すんですか!」
「俺が魅弥の兄だからだ」
「どうせ血は繋がってないくせに!!あっ……」
カッとなってつい言ってはいけないことまで言ってしまった。
後悔が身体をさいなむ。
嘘の兄だと思ったことなんかない。
いつだって俺たちのことを考えてくれて、常に優しかったのに。
またしても、静まり返った車内に耐えきれず、車を飛び出した。
部屋に戻っても後悔は大きくなるばかりだった。
あんなこと言わなければ。
せめて、すぐに謝っておけば。
時間が一秒、また一秒とすぎる度に謝りに行く勇気はすり減っていった。
明日、仕事に行きたくない。
そういえば、昨日も同じことを思っていた。
いっそ、俺と社長が出会わなければ良かったのに。
うそ、それは…嫌だ。
頭の中をぐるぐると回したまま眠りについた。
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