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第49話
少しだけ、少しだけ誰かに話したい。
バートなら社長に漏らすこともないだろうし、それにすぐイギリスに帰るだろう。
“俺、社長と兄弟なんだけど”
“うん?知ってるよ。名字同じだしね”
“俺は養子でさ”
“それであんなにぎくしゃくしてんの?”
意外と驚かれなかったな。
ほっとする。
“昨日……ちょっと喧嘩しちゃって。血繋がってないくせになんて言っちゃって。”
言いにくかったはずなのにさらっと口から出てきた。
“うーん…仕方ないと思うよ。カッとなって言っちゃったんでしょ?お兄さんもわかってると思うよ。
でも、ちゃんと魅弥から謝らないとね。もー、ほら泣きそうな顔しない!”
今朝、社長を起こしに行った時も仕事してる時も、社長はずっといつも通りで、でも、俺はいつも通りに出来なかった。
ずっと重かった心が少し軽くなった気がした。
“別に泣きそうじゃない。でも、聞いてくれてありがとう。”
“うん!帰りにお兄さんになにか買っていこっか”
本当に嬉しそうに笑うこいつが友人で本当に良かった。
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