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第50話

社長が以前好きだと言っていたブランドの時計とネクタイ。 付けてるところを見たいとか……何考えてんだろ。 “後は謝るだけだね、魅弥。素直になりなよ?” “ありがとう。がんばるよ” 午後も社長とはあまり目を合わせられないまま仕事が終わり、社長の部屋についた。 「あの、昨日は思ってもいないことを言いすみませんでした」 少し早口になりながら、時計とネクタイの入った袋をさしだす。 「血が繋がっていないというやつか。確かに繋がっていないが、俺は魅弥を本当の弟だと思っている。何よりも大事だ」 「それは私もっ」 「そんなに気にするな。兄弟喧嘩なんて、よくあることだろう。」 優しく笑う社長にはいとしか返事ができなかった。

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