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第61話
「今日1日、お前の事を考えていた。お前が、俺を恋愛対象として見ているのは、気づいていたが、急なことに驚いた。」
「えっ?気づいていたって、いつからですか?」
もし、本当に気づいていたなら恥ずかしいし、馬鹿らしい。
「お前がイギリスに留学する前だろう?留学もそのせいではないか?」
「そう…です。」
勘が鋭すぎると思う。
いや、俺の態度がわかりやすかったのか?
でも、そんな素振りを見せたことはないはず。
それに、留学の理由まで、バレているなんて。
「なら、ずっと私をからかってきたのですか?」
「どうしてそうなる」
「どうしてって……。これまで、私にしてきたキスと、言葉は私の反応を面白がるためでしょう?」
別に、だからなにという話じゃないけれど。
「いや、それは違う。魅弥、俺もお前のことが好きだよ。」
「急ですね」
「別に急じゃないだろう。これまでも好きだとは伝えてきた。……おい、泣くな…」
勝手に涙がこぼれ落ちるだけだ。
永遠に伝えることのないと思っていた想いを伝え、応えがかえってきた。
それだけでも、何も言えなくなるくらい嬉しいのに。
安心する体温で、優しく抱きしめられた。
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