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第65話
仕事も終わり、鞄からスマホを取り出す。
分かっていたことだが会長からのラインと、バートからもきていた。
会長のは後回しにすることに決めて、バートからのラインをチェックする。
[今日は、ごめん。もし良かったらなんだけど、また一緒に食事を取れないかな?魅弥にもっと会いたいし]
それにもちろんと返事して、少し悩んでから会長からのラインをあけた。
[玻璃と上手くいったみたいだね。おめでとう。水をさしたくはないんだけど、今日の夜うちに来て]
バートに送った時とは全く別の気持ちではいと送った。
会長の家の門の前。
俺の実家でもあるはずなのに、そこに立っただけで気分が沈んでいく。
執事に門を開けてもらい、会長の部屋へと歩を進める。
手をかざしてドアを開けると、会長はこっちを向いて椅子に座っていた。
「どんなご要件ですか?」
「玻璃と魅弥を祝おうと思ってね」
祝うなんてこの人がする訳ない。
俺と社長のことだって、どう思っているんだろう。
「ははは、そんな顔で見ないでも本当に嬉しいと思っている。まあ、魅弥と出来なくなるのは悲しいけどね」
「それはっ、もうあなたとしなくていいと」
「ん?ああ、そうだね」
その時、急にバンっという音がして、ドアが開いた。
「魅弥!おい親父!もう魅弥に手を出すな!」
「社長……」
「玻璃。もうしないよ、残念ながらね。一応親として、子供たちの喜びを見守ろうと思ってね。」
隣で社長が親としてってなんだと呟いている。
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