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第67話
「もっとはやく気づいてやれば良かったな」
「いえ、あの…そんな」
恥ずかしさでうつむいていると、スマホが着信をつげた。
社長との空気感に耐えきれなかった俺はほっとして、スマホを開いた。
バートからの夕飯の誘いだ。
誘うのが早いなと苦笑する。
「魅弥、用事か?ちょうどいい時間だから良かったら、夕食でも食べに行かないか?」
社長と夕飯なんて、そんなの緊張しすぎる。
「すみません。用事がありますので」
「そうか。また、いつか行こう」
もう部屋の前についてしまったから、小さくはいと返事して別れた。
[もちろん行くよ。バート、どこで食べる?]
[日本に来てずっと行きたかったホテルがあるんだよ。そこで食べたい
場所が分からないだろうから、迎えにいくよ]
[分かった、ありがとう]
ずっと行きたかったというくらいだから、レベルの高いホテルなんだろう。
たとえ、違っても浮かないようにジャケットに着替えた。
スーツ以外の服はやっぱりなれない。
ジャケットはまだましだけど。
5分も経たないうちに、インターホンがなった。
バートを見ると同じような格好をしていたので、よかったと思いながら表にでた。
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