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第76話

朝起きたら、知らないベッドの上だった。 焦って、見回すとすぐ横にバートの顔がある。 「おい、バート!おきろよ!」 「魅弥〜おはよ〜」 バートが服を着ていたので安心した直後、俺の体を見下ろすとばパジャマを着ていた。 少ぶぶかぶかなのが気にくわない。 ……じゃなくて! 「お前が着替えさせたのか?」 「え?うん。寝苦しいだろうと思って」 「あ、そうか、ありがとう……」 と。いうか、昨日告白されなかったか? ちゃんと訂正しないといけない。 「あのな、昨日付き合ってみるとか言ってたけど…ごめん。無理だ」 「ははっ……やっぱり、そっか。魅弥は全然気づいてなかったけど、イギリスにいた頃から好きだったんだ。 いつも違う人……神奈氏のこと考えてたから可能性 はないなって思ってて。 ねぇ、ちょっとだけチャンスくれない?魅弥が神奈氏と本当に仲良くなれるまで、付き合わせてよ。 魅弥の嫌なことはすぐに辞めるから」 イギリスにいた頃って……全く気づいてなかった。 どうしようか。 いつも、笑顔なバートがとても不安そうな顔をしている。 「短い間だけなら…」 社長の浮気はずいぶん、心に傷をつけてるみたいだ。 明るくて優しいバートといたら、割り切れるかもなんて。 卑怯だし、ずるい。

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