77 / 123
第77話
「付き合うって言ったって、本当に何もできないぞ?」
「んーじゃあさ、今夜はデートしよ?ディナーだけだけど」
デートなんて言うと、今までと同じ内容なのに妙に恥ずかしい。
「分かった、店は?」
「また俺が決めていいかな?」
特に行きたい店はないので、バートに任せることにした。
そこから家に帰り、いつもどおり、社長と会社に向かった。
「魅弥、明日の休み、出かけないか?」
「私とでいいんですか?」
「何を言っている?恋人であるお前と行きたいに決まってるだろう」
嫌な言い方をしてしまった。
どんどん性格が悪くなっていく。
「ええ、行きたいです」
「そうか!なら、どこへ行きたいか考えておいてくれ」
以前ほど、楽しみにできない自分が嫌だ。
社長はどこへ行きたいだろう、どこに行ったら喜ぶだろうか。
“魅弥、レストラン行くから、セミフォーマルだよ!タキシード姿楽しみだなぁ”
家に帰りスマホを見るとバートからラインが来ていた。
タキシードはあまり着ないからちゃんと着れるだろうか。
なんとか着終わるとちょうどバートが来た。
今日は執事に車を運転してもらっている。
「魅弥はなんでも似合うね。かっこいいよ」
それならバートの方が似合っている。
金色の髪が黒い服によく映える。
「バート様、魅弥様。もうすぐ到着します」
そこから5分も経たないうちに、レストランについた。
「魅弥、これ。」
そういって、渡された箱を開けるとブレスレットがはいっていた。
「もしすぐに別れちゃうとしても、魅弥に俺の証をつけときたくて。つけられる時だけ付けてもらえないかな?」
ブレスレットは俺の好みにぴったりで、すごく考えてくれたんだろうと嬉しい気持ちがあふれた。
ただ、それと同じくらい罪悪感も生まれたけど。
ともだちにシェアしよう!