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第80話

「魅弥、帰りにカフェによらないか?」 「え?別にいいけど……」 敬語じゃないのは慣れなくて、話しにくい。 バートなら適当に話せるのに。 いや、バートと比べるところじゃないだろう。 社長が連れてきてくれたカフェはとてもおしゃれで、女同士やカップルがとても多い。 この雰囲気の中、男二人で入るのか…… 甘いものは好きだから楽しみだけど、女の人だらけというのは少し怖い。 なのに、社長は普通に中に入っていく。 それに遅れないようにと俺も急いだ。 このカフェは森の中をテーマにしているらしく、机や椅子が丸太だ。 皿も木で出来ているらしい。 「何を食べる?」 これとか美味しそうだなと社長がパフェを指さしながらメニューを見せてくれた。 俺が甘いものが好きだと知っているからか、生クリームがたっぷりでとても美味しそうなパフェ。 「じゃあ、それで」 「分かった。なら、俺はパンケーキを頼むから半分にして食べようか」 社長がパンケーキって。 そんなイメージ全くないから、少しかわいい。 「おい、何笑ってる?」 「いや、何も無いよ」 「本当か?」 社長が俺の目をじっと見ながら、顔を近づけてきたのでとっさに目をつぶった。

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