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第82話

駅から、徒歩で5分ほどのホテルでいまは暮らしているらしい。 俺の家ともだいぶ近くて、驚いた。 「ん、はいって」 「お邪魔します」 部屋は、片付いているけど机の上の雑誌や、洗濯物が生活感を出していて、落ち着いた。 「バート、今日はうちに帰りたくない」 「泊まってっていいよ。あっ、手は出さないから安心してね」 ふざけたように、手をぷらぷらさせるバートに笑ってしまった。 「もう夕方だけど、何も食べてないよね?何食べたい?」 「なんでもいい」 「よし!じゃあ、一緒に肉じゃが作ろう!日本食作りたいから教えてよ」 バートって料理出来たのか。 俺を元気づけるために、明るくしてくれてるのが嬉しくて一緒にキッチンにたった。 「俺はあんまり料理は得意じゃないぞ?」 「んー?大丈夫!適当にやったら、作れるよ」 適当という言葉の通り、バートはめちゃくちゃだった。 包丁は両手で持つし、みそ汁の出汁はとらないし。 絶対にこいつは料理できないな。

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