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第84話

「で?結局、何があったの?」 バートが軽くほほえんで、でもとても心配そうにそう聞いてきた。 でも、いいのか? 一応、俺とバートは付き合ってる……し、社長のことを相談なんて。 「絶対、迷惑とか思わないから言ってみて。心が軽くなるよ」 バートはいつも俺のことちゃんと見てくれてるっていうか、分かってくれてるっていうか。 とにかく、一緒にいて居心地がいい。 「今日、久しぶりに社長と出かけたんだ」 「ふーん。それは楽しかったんでしょ?」 確かに、楽しかった。 「でも、かえりにカフェで…………多分、社長の恋人と会った」 カフェによらないかって聞かれた時に、断っていればよかった。 あんなにかわいいお店には、入るべきじゃなかった。 だって、小柄で明るくてかわいいあの人と社長は、とても似合ってた。 それに比べて、友達にしか見えないような俺。 人には言えないし、祝ってももらえない。

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