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第91話
「ばーと?」
魅弥はほほを赤くしてこっちを見ている。
嫌がれよと心の中で叫んだ。
「これ以上、わがまま言うならこういう事ほんとにするよ?」
「べつにいいもん。おれもばーとのことすきだもん」
投げやりになっているのか、今度は魅弥が俺にキスをしてきた。
それを離させ、俺から優しく抱きしめた。
「魅弥、好きって言われるのは嬉しいけど、本当にそう思ってるわけじゃないでしょ?
それは、俺を馬鹿にしてるよ」
そう言うと、魅弥は腕の中で泣き始めた。
小刻みに震える肩を撫でていると、小さくごめんなさいと聞こえた。
「ん。俺はいつでも魅弥の味方だから大丈夫。ほら、もう寝な」
しばらくして、聞こえ始めた魅弥の寝息にほっと一息ついた。
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