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第16話

【月影サイド】 危ういところだった…… 青蘭がどういった意図で抱きしめてほしいと願い出たかは分からないが、あの目は純粋なものであった あのまま抱きしめていたら私のタカが外れかねない 今までも何十人と小姓に求められて来たが、こんなにも心が揺れたのは初めてだ…… 來華様の小姓である以上私が手を出すわけにはいかない 「月影様……月影様!」 月影「あっ、すまない。いかがした?」 小姓「來華様の護衛小姓と雪那様の護衛小姓が争っております」 月影「またか……」 私は私の職務を全うせねば…… ・ ・ ・ 【青蘭サイド】 夕食に月影様はいらっしゃらなかった…… でもまぁ……気まずくてせっかくの夕食が不味くなりそうか 夕飯をいただいたあと寝所へ戻り、本棚にあった本を読んでみたものの私には難しい物ばかりですぐに本を閉じた 青蘭「ひまだな」 ガタン 月影様か?? お先に夕食をいただいてしまったし、一言あいさつしておくか 青蘭「ふぅぅ……」 ちょっと緊張する…… …………。 やっぱりやめておこう……… どんな顔で出て行けばいいのか……… カチャ 青蘭「!!!!」 月影「夕食は済んだか?」 青蘭「はっ…はい!!お先にいただいてしまい申し訳ございません」 月影「構わない。一緒に食事が出来なくてすまなかったな」 青蘭「……いえ……」 月影「何か必要な物があれば遠慮なく声をかけなさい」 青蘭「ありがとうございます……」 パタン……。 ………一緒に夕食する予定だったのか……/// 待てばよかった……/// いやいや……待て待て相手は男だ 何を喜んでいるんだ私は…… 思えば今日はずっとおかしい…… 慣れない環境にさすがに疲れが出たに違いない ゆっくり眠ることが数日なかったし……緊張することも多かった もう寝るとしよう ・ ・ ・ 【月影サイド】 青蘭の部屋の灯りが消えてから1時間程が経ったであろうか   書物も読み終えたことだ 私も寝所へつこう カチャ 部屋の扉が小さく開き、顔を覗かせる青蘭に声をかけた 月影「いかがした?」 青蘭「………かわらへ……」 月影「場所は分かるか?」 青蘭「……場所はわかるのですが……」 ………なるほど……。 まったく…… 月影「付いていけばよいか?」 青蘭「はい!///」 暗闇が苦手な小姓が護衛を希望とは…… 生まれ持ったこの可愛いらしい質を活かせるのは間違いなく色小姓なのだがな……

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