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第23話 世話してんのか、されてんのか ※微R18

【世話してんのか、されてんのか】  そろそろシドニーを迎えに行かねえとな……と思いながら自分の部屋で昼寝をしていると、突然入って来たショットに仰向けのまま首だけベッドから落とされて口に突っ込まれた。もちろん、イキリ立ったナニをだ。 「ちょっ!? ん、ぐっ……うっ」  角度のせいか、いつもより深く侵入されて吐きそうになる。それに逆さを向いてるから、頭に血が昇って気持ち悪い。 「待て、はぁっ……この体勢……嫌だ」  ショットの腰を掴んで止めさせると、ギラついた目と目があった。ああ、ちょっと普通じゃないみたいだ。これはまずい。 「ちゃた、もっと」 「んん……!」  さすがに言う事を聞くわけにはいかないと歯を食いしばったが、バカ力で容赦なく開かされて一気に奥まで突っ込まれた。 「ん、ぐ……っ! ……っ!!」  喉が無理やりこじ開けられて、ゴツゴツと喉仏の辺りを叩かれる。強烈な吐き気に体が勝手に|仰反《のけぞ》った。 「……! っう、んぶ……っ」  息が出来ない。胃から競り上がってきたモノがショットのブツに堰き止められて、喉で滞留してる。  ――死ぬ、まじで死ぬ!! 「んっ、ぐっうっ!」  溺れるより苦しくて、頭の血管が切れんじゃねえかってくらい顔が熱くなって、必死でショットの足にガリガリと爪を立てた。そっから先の記憶はない。ああ、死因がちんこで窒息死なんてまじで最悪。地獄で笑いモノにされるに決まってる。セオドール・A・ブラッドレイ、俺はお前をあの世で恨む。 「とーちゃん」 「うわぁ!!」  状況が理解できなくて飛び起きた。飛び起き……俺、生きて……る?うん、生きてるみたいだ。で、隣にシドニーがいて……シドニーが……。 「……もしかして、何か片付けてくれたりしたか?」 「うん、とーちゃん吐いた?」 「シドニー……」 「ん?」  俺はベッドから降りて床に頭をぶつけながら"ドゲザ"をした。 「まじでごめん!!」  せめて服を着てたのが不幸中の幸いすぎる。 「いいよ、母さんのゲロの処理で慣れてる」 「んな事に慣れんな。 もう忘れろ」  てか、問題はそれ以上に……。 「まじでごめん、これだけはお前にはさせちゃいけねえと思ってたのに」  "これ"ってのはつまり、性行為の後始末の事だ。シドニーはまだ10歳……いや何歳になっても自分のガキにさせるのは絶対に違う。 「うーん、別に俺は二人が仲良くしてるのはいいんだけどさ」  な、仲良く……。と変な汗が出る。 「おう……」 「死なないようにだけ気を付けてね、せめて俺が独り立ちするまでは」 「はい、すんません」  なんだこの情けないにもほどがある説教。てかあの野郎はどこ行きやがったんだよ。  ***  その日の夕方、どっかからか帰って来たショットをとっ捕まえて別室へ連れ込んだ。シドニーに聞かれないように指導をするためだ。 「あのな……セックスとか、それに準ずる事を色々した後、俺が気絶してたら最低限の後始末だけまじでやってくれ」 「なに」 「壁とか床とか、汚れたところを拭いて、俺に下着だけでいいから履かせてくれ」 「わかった」 「んで、出来ればベッドに優しく寝かせてくれ……」 「わかった」  ほんとに分かってんのかなぁ……と不安になるが、何度でも教えて覚えさせるしかない。 「あー……あとな、その……」  これはリドルに前に教えられた事だ。"セーフワード"を決めておけって。だからSMじゃねえって言ってんだけど、もし本気でヤバい時にコイツの暴走をそれで止める事ができるなら……。 「俺がまじでヤバい時、|赤《レッド》って言う。ちょっとキツいなって時は|黄色《イエロー》って言う。気付いてくれるか?」 「……」  ショットは無い頭をフル回転させて俺が言ってる事を理解しようとしてるみたいだった。 「俺が|赤《レッド》って叫んだら、まじでヤバいから止まれって意味だ」 「わかった」  さっきみたいに口を塞がれちまったら意味がねえけど、セーフジェスチャーまで今決めて伝えたら、こいつはきっと混乱してどれも覚えられないだろう。今はこれだけでも理解して、本当に危ない時に少しでも冷静になってくれればと思う。果たして俺がまじでヤバい時にこの言葉を思い出せるかどうかも課題だけど。 「とにかく、シドニーに迷惑かけるのはダメだ」 「シド?」 「さっき俺が吐いちまったモン、あいつが片付けてくれたんだよ」  それが何故ダメなのか分かってなさそうだし、どうせ無駄だとは思うが「俺たちはあいつの保護者なんだ」と説明した。 「ほごしゃ」 「あいつの面倒を見る責任があるんだ。面倒を見られてちゃいけねぇんだよ」  人の話なんか全く聞いてなさそうに見えるけど、真剣に向き合って話せばこうして聞いてくれる。時間はかかるけど、理解しようとしてくれる。だから俺は根気強く向き合う事にしてるんだ。 「……ちゃた」 「何……ん、な……なんだよ」 「ちゃた、好き」  唐突にキスされて、首に巻きつかれる。 「ん、んん……な、ん……っ」  軽く唇を重ね合わせるだけのキスを何度も繰り返す。 「ショッ、ト……あ、うぁ……?」  そのうち頭を掴んで上を向かされて、指で口をこじ開けられたかと思うとショットの唾液を流し込まれた。 「えぅ、ん、んぅ……」  なんで突然こんなサカってんだと不思議に思いつつ、抵抗せずにそれを飲み下す俺は俺でちょっとこいつの獣っぽさに影響されてるよなと思う。 「……ちゃんと飲んだよ」 「ん」  舌を出して誘ってみるとそれもペロリと舐められた。ザラついた感触にゾクゾクと鳥肌の立つような感覚がして、腰が抜けそうになる。 「好き」  こいつはいつでも素直だけど、好きをわざわざ言葉にされるのは珍しい。都会に行って帰って来た時以来か?なんて考えて、こいつにいつ好きって言われたか記憶してる自分に苦笑した。 「どうしたんだよ、何かあったか?」 「ちゃた、なんでも言う」 「そりゃお前に分かってほしいから話すよ」  ショットは字が苦手だから、こいつの頭の中で俺の言った言葉がどう聞こえてるのか俺には想像できない。あんまり長い文章になると難しいみたいだけど、短い言葉はちゃんと理解してくれる。 「……」  だから俺は言い方や伝え方を変えて何回も説明したりするわけなんだけど、それがどうも嬉しかったらしい。前にリドルとの件で喧嘩した時は難しい事を言ったと拗ねてたが、あれはまあ……リドルが居る事に対してイライラしてたんだから仕方ないか。 「お前だって、俺の言葉は聞き逃さないように頑張ってくれるじゃん。俺もそれが嬉しいよ」 「うん」  俺がよく話しかけるからか、出会った頃よりはこいつの喋りも上手くなってる気がするし。本当に赤ん坊の成長を見守ってる気分だ。 「だから、俺が|赤《レッド》って言ったら、聞いてくれな」 「ん……」  素直に頷くショットが無性に愛しくなって、俺はその頬にキスをした。

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