48 / 231
第48話 ここで生きていくこと ※R18
【ここで生きていくこと】
自我を取り戻してからも体の調子がイマイチ戻らなかったらしいショットは一瞬このまま"不能"になっちまうんじゃねえかと思うくらい性欲が欠如してたけど、とある日の就寝前、唐突にめちゃくちゃ求められて困惑と同時に安心した。
「ちゃた」
「待て、ヤるなら奥の部屋で……こら」
「はやく」
「シャワー浴びてくるから待ってろ」
もし本当にこのままプラトニックな関係になったとしても、こいつを一生愛し続けられる自信はあったけど……それはそうとして、正直な所、俺だってヤリたい盛りの男なんだから仕方ないだろ。
「じっとしてろ。してやるから」
「ん、んん……」
服を剥ぎ取って、首筋や胸元にキスを落とす。時々吸い付いて痕をつけると擽ったいのか小さく声が漏れるが、俺の髪に触れる手は優しい。
ズボンも下着も脱がして、俺も自分の服を脱ぎながら全身を丁寧に愛撫する。肌を触れ合わせるだけでじわっと気持ちいい。
「なんかすげー久々だな」
腹を舐めて吸い付いて、更に下に移動しようとしたら髪の毛を掴んで引き剥がされた。そうだ、人の頭をそんな風に扱ったらダメだって教えとかねぇと、もしシドニーに同じことしたら困るって前から思ってたんだ。
でも、そう思いつつ……実は俺自身が雑に扱われる事はそんなに嫌いじゃないから困る。脳内で「実は、じゃねえだろ」とツッコみが聞こえた気がした。
「はぁっ、なに……」
「おれする」
「……歯ァ立てんなよ」
ショットの舌にはピアスが着いてるが、咥えられてても意外と感じない。それよりたまに歯が当たってビクッとする。さすがにいつもの勢いでコレに噛みつかれたら死ぬからな。
「ん、ふぅ……」
「やべ、すぐイきそう」
言っとくが断じて"上手"くはない。でもこの猛獣が俺の足の間に頭を埋めて、拙い舌遣いで一生懸命にご奉仕してくれてんのが堪らねえだけだ。
頭を撫でてやると嬉しいのかフンフンと鼻息が腹にかかって擽ったい。
「あ……う」
ショットにフェラされながら俺は俺でローションを付けた指を後ろに伸ばす。さっきシャワーを浴びながらある程度は"準備"したものの、久々だからキツい。
「はぁ、マジで……う、お前だけなんだからなっ」
「?」
口を離して顔を上げたショットと目が遭う。その口からタラリと唾液が垂れたから、空いてる方の手で拭ってやった。
「はぁ……っ、だから……俺が"こんな事"まで許すのは、お前だけだっつったんだよ」
「……うん」
俺の言いたい事がなんとなく分かったのか、少しだけ笑ったように見えた。そして後ろの手に手が重ねられたかと思うとゴツゴツした無骨な指がヌルッと入り込んでくる。
「ゆっ、くり……」
「うん」
また舌が這わされて、吐く息が震えた。
そんな風に前も後ろも責められて、やっぱりほとんど耐えられなかった俺はすぐ限界が近付いてきた。
「あっやば、いく、いくっ……!」
「んん」
「離せ、バカッ!あ、あっ」
耐えきれず俺はショットの口内に吐精してしまった。
「こら……も、やめっ……やめろって!」
強すぎる刺激に逃げたいのに、口を離さないまま腰を掴んで更にちゅうちゅう吸いやがるからその頭をパシッと叩いた。
「おい!おまっ……ばか、飲んだのか!?あっ、こら!」
先を舌でこねくり回されて必死で逃げようともがく。
「ふ、くっ……!うぁっあ!やめろ!」
「んー」
イッたあとのモンを容赦なく舐められて吸われて、突っ込んだ指で内側から刺激されて、ガッチリホールドされて逃げられなくて、腰が勝手にガクガク痙攣する。
「あ、あ、はぁ、もっ……出る、出るから!!」
「んぷっ」
前にも感じたことのある強烈な感覚が全身に走って、シーツを握りしめて海老反りになった。さすがに離れたショットの口からボタボタと俺の出しちまったモンが溢れ出る。それでも大半は飲みやがったみたいだ。
「ぅあ」
「クソばか、く、っう……ぜんぶ吐け、このっ、ヘンタイ……」
また"潮"を噴いちまったが、これって結局は意思関係なく噴出されちまってるだけの小便なんだろ……あー最悪すぎる。
「ちゃたのだすもの、ぜんぶのむ」
「どれも飲むな!!なんだその宣言!」
汚れてる俺の下半身をまた舐めようとするから慌ててシーツで拭き取った。
「お前ってまじ、俺から出る体液で飲んでないもの、もう無いんじゃね……」
「へへ」
褒めてねーよ、と頭を叩けば「ちゃたおっぱいでる?」と乳首に吸いつかれた。
「出るわけねーだろ、馬鹿、いてぇって」
千切れるんじゃねえかってくらい噛みつかれてもう一回頭を叩く。少し前に二人でシドニーが小学生の時に使ってた生物の教科書を眺めてるなと思ったら、また余計なことを覚えてきたらしい。
でも母乳って血から作られてるとか聞いたことあるから、実質飲んでるようなモンかもな。
「ゴム、また買っとかねぇとな」
たくさんいるだろ?と笑えば、あんま分かってなさそうだけど「うん」とヘラヘラ頷く。
座らせて装着させてやって、そのまま上に乗っかった。
「は……あ、ぁあ……っ」
体を内側から押し広げられる最初の感覚は何度体験しても慣れない。特に今日はしばらくぶりだからショットの首にしがみついて震えてると背中を撫でられて、その珍しく穏やかな仕草にホッとした。
「っく、う……」
「ちゃた、へいき?」
「ん、んっ」
少しずつ腰を落とす。胸元を舐められてゾクゾクした。
「はぁ、あ……」
「きもちい、ちゃた」
「うん……俺も」
ショットの膝の上に座る形で抱き合いながらユルユルと腰を前後に動かす。部屋にはしばらく卑猥な水音とお互いの荒い息遣いだけが響いてた。
「……ちゃた、これ」
「え、あっ」
その時、ショットの手が俺の|鳩尾《みぞおち》をなぞる。そこにはまだ"あの時"のアザが薄く残っていて、思わずドキッとした。
「な、なんでもない、どこかで打って怪我したみたいだ」
咄嗟に何も言い訳が出てこなくて、下手に誤魔化した。
「おれ……これいやだ」
「すぐ、消えるから……。心配させてごめんな」
あくまで俺の解釈だけど、今ならマウロアの気持ちがわかる気がする。あの時……自分の命よりもショットに自由に生きて欲しいって気持ちの方がずっと上だった。
その選択でこいつが傷つくだろうって分かってたけど、そのうちまた側にいてくれる誰かが現れて、元気を取り戻して、俺の事はただ忘れずにいてくれたら……それだけで本当に幸せに死ねるって思っちまった。
「う……っ、んっ、ショット、はぁっ」
だんだんお互いに余裕が無くなってきて、このまま好き勝手に揺さぶられて前後不覚になっちまう前に……と慌てて声をかけた。
「あ、あっ、ショ……ット……!俺、も……!」
「……ちゃた?」
「その、俺も、飲みたい……はぁ、お前、の……出したモン」
ショットはその言葉に予想以上に興奮したらしい。急に押し倒されて、鋭い目で睨まれて、腹を突き破るつもりかってくらいに激しく犯される。
「あっあっ!あ、ぐっうっ、う……!ぅああっ!」
「ちゃた……っ」
いつもよりデカくなってる気がする凶悪なペニスで直腸をぐちゃぐちゃに掻き回されて、体がバラバラになりそうなほどの衝撃にベッドの柵を掴んで耐えるしかない。
「あ、あぁっあ、あっ、ショット、待っ……!」
「ちゃた、っく、う……ちゃたろー……」
古いベッドがガタガタと壊れそうなくらいの音を立てて、あんまり騒いだらさすがにシドニーが起きちまうんじゃねえかと思ったけど、声が我慢できなくてほとんど悲鳴のような嬌声を漏らす。
ショットの額から垂れた汗がポタポタと落ちてきて、ふと見上げると快感に歪んだ顔をしてて、組み敷かれて好き勝手されながらも、どこかしてやったような気分で嬉しくなる。
「気持ち、いいかよっ……あっ、俺んナカ……はぁっ」
「んん……」
「ぅぐ、うっあっ、あ、ぁあっ!」
その時、膨らんだモノが俺の腹の中でピクピク震えてるのが分かって必死に叫んだ。
「ふぅっ、あっ口にっ……口に、出して……くれっ」
「く、う……ちゃた……っ!」
ズッと内臓ごと引き抜かれそうな勢いで熱が体の中から出て行ったかと思うと、ショットはゴムを外しながら俺の顔を跨いでソレを口に突っ込んできて、生臭くてぬるい精液が直接喉に流し込まれた。
「っん、んぐ……、っう、んん、ぐっ」
すぐ抜き取られそうになったソレに反射的に吸い付くと更にドプ、ドプ、と何回かに分けて粘性の液体が吐き出される。
「は、ちゃたっ……はぁっ、ふっ……」
「ん……」
「ちゃたろぉ……」
喉に絡みつくそれらをなんとか一滴残らず飲み下して息を吐いた。
「はぁっ、はぁ……っはは、ぜんぶ、飲んだ」
笑いながら口を開いて見せると覆い被さられてキスされて、歯と歯がガチッとぶつかって唇が切れた。
「ん、ん……んあ」
舌を吸われたから素直に伸ばしてショットの口内に差し込むと唐突に思い切り歯を立てられて、あまりの激痛にショットの腕に爪を立てちまった。
「んん゙……!い、ぎ……っ!!」
太い血管が切れたのか、口から凄い量の血が溢れ出て濃すぎる鉄の味に吐き気がする。逃げようとしても後頭部を抱き抱えられて、ちゅうちゅうと舌を吸われ続けた。
「……っ!ん、ふぅ……!」
ズキズキ痛む傷口を更に舐められて、甘噛みされて、ショットの喉がゴク、と音を立てた。
酷い血の匂いと味と脳天に響く激痛にクラリと目の前が暗くなる。ああ、引っ掻いちまった所は怪我になってねぇかな……って頭の端で心配しながら意識がブラックアウトした。
***
目が覚めると清潔な服が着せられてて、舌からはまだジワジワ出血してるから口の中は最悪な味しかしなかったけど、傷も下手なりに手当てしてくれたようでベタベタと全身のあちこちにガーゼが貼り付いてた。
隣で気持ちよさそうに寝てるショットは裸のままで、その腕にはさっき引っ掻いちまった所が赤い線になって浮かび上がってた。
引っ剥がされたシーツは床に投げ捨てられてて、代わりのシーツを付けようと奮闘した形跡も見受けられる。残念ながら全然出来てないけど。
まだまだ教えるべきことは山積みだな……と思うと同時に、愛しくて堪らなくなる。
「……」
口の中も外も痛すぎて喋る気になれないから、黙ったまま「後始末してくれてありがとう」という気持ちを込めてその頭をそっと撫でた。
この愛情が誰にも理解されなかったとしても別に構わない。勘違いだって言われてもいい。ただ俺はここでこいつと生きて、その成長を見続けたいんだ。
俺は愛しのバカが風邪を引かないように毛布で包んでやって、この上なく幸せな気分で目を閉じた。
ともだちにシェアしよう!

