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第63話 赤は止まれって言ってんだろ

【赤は止まれって言ってんだろ】  ――これは|セーフワード《イエロー&レッド》を決めてから少し経った頃のこと。 「……はっ、はぁっ、う……」  今日は一段としつこいショットに後ろからハメられて、もう何回も中に出されてる。最初の一発目だけはゴムをさせたんだが、それを外した後はもうダメだった。 「あっ、あっ、あっ」  俺は疲労困憊で意識も朦朧としてて、ただ内臓を押し上げられるたびに勝手に声が出るだけの状態だ。 「はぁ、あっあ、あ、くっ」 「ちゃたろ……」 「あっ!う、ぐっ」  後ろから髪の毛を掴まれてベッドに頭を押し沈められる。息が苦しい。激しく腰を叩きつけられてブチュ、と下品な音を立てながら注がれた精液が漏れ出した。  そうだ。この前セーフワードってのを決めたんだった。これくらいだったら|黄色《イエロー》サインレベルかな……まだ早いかな……いやもう基準がわかんねーな……。  でもひとまず止まって欲しい段階には達してる。髪を掴む時に爪が当たって切れたのか、頭から血が垂れてきたし。 「うっ、んっ、ぐぅ……っショット……い、イエロー、だっ……」  俺は今|ちょっとまじでヤバい《イエローサインだ》ぞって言ってんのに、案の定全く聞く耳持たず。いや、これで諦めずに何回も使って覚えさせるしかない。  イエローもレッドもあるとややこしいか?もうレッドだけにすべきか。 「ふ、ぅ……っ、うっ、う……っ」  サインを出してるにも関わらず止まるどころか指も突っ込まれて更にキツくなった。 「あっ!あ、なに、やって……!やめっ」  ピストンし続けながら指で広げられて、開いた隙間からドロドロと腹の中のモンが溢れ出してるのが分かる。何回か失神してるから正確にはわかんねーけど、最低でも2回は中に出されてた。  カラカラになって腹上死するつもりか?この馬鹿は。 「ぅあ!ぁああっ!」  ガバッと片足を持ち上げられて、今度は横抱きでまたガツガツ犯される。角度が変わると刺激される場所が変わって、もうとっくに体力は限界なのにゾクゾクと快感が全身を貫く。 「いっ、ぁあっ、あっあ!」  でも俺はもうイけねぇ。このままだとまた失禁しちまうかも。それだけは嫌だ。 「ちゃた……ちゃたろー……はぁっ……」 「はっ、はぁっ、う、あっ!あ、あぁっ」  ふと視線を上げると窓の外が薄明るい。嘘だろ。6時間くらいヤッてるってコトじゃねえか。 「あっあ、もう、も……っ|赤《レッド》、ヤバ、い……」  俺自身も2回絶頂して、一晩中ずっと揺さぶられて、痛みに耐えて、もう勃たねぇのに刺激され続けて、何回も中イキして、失神して、呼吸する度に喉から変な音が出る。  まじで死ぬ。頭から垂れてきた血が入ってもう目も開けられねえし。 「うぁ、|止まれ《レッド》、あっ、ぐぅっ、|止まってくれ《レッドだ》、って……っ」  なのに止まるどころかぎゅうぎゅう抱きしめられて、また中に出された。 「あ、あ」 「っふ……ふぅっ……」  しかもグイグイと腰を押し付けて、丹念に腸壁に擦り付けられる。本能で孕ませようとすんな、馬鹿。 「ちゃた、もっと」 「むり、だって……も、やめ……」  血だらけの顔面を舐められながら枯れた声でなんとか「俺が|赤《レッド》って言ったら、まじでヤバいって教えたろ」と呟いた。 「……ちゃた、つかれた?」 「疲れ、てる……よ……」  ヒューヒューと喉が鳴る。声を上げすぎて喉が腫れたのかもしれないな。言葉を理解したのか、俺の様子に気が付いてくれただけなのか、わからねぇけど……とりあえずショットはおとなしくなってブツを抜いてくれた。 「あ……う、ぅ」  体の中に出されたモンが次々に流れ出して、なんかすげー恥ずかしかったけど便所まで踏ん張って我慢する体力すらない。 「へいき?」  また顔を舐められて少し目を開く。顔を洗いたい。 「血が、目に入ったから……洗いたい……」  そう頼んだら、何度か教えた通りに俺の体を新しいシーツで包んで、抱き上げて洗面所に連れてってくれた。もう朝が近かったけど幸いまだシドニーは起きてきて無かったから、急いで顔を洗って、そのままついでにショットに支えてもらいながらシャワーで体を綺麗にした。  シャワーヘッドを握る手がガクガク震えてて、代わりに持ってくれたから「ありがとな」と言うと頭にキスされた。 「……ごめんな、満足させてやれなくて」 「ううん」  俺はもう若くないから、こいつとセックスフルマラソンしてやることは出来ない。って、なんだそりゃ。何発ヤれば完走だ?  てか、その気にならない時は抱き合って寝てても5日10日平気で何もしてこないくせに、ひとたびその気になったらコレだから、頻度と回数をもう少し|均《なら》してくれたら良いのに……って思う。  シャワーを出てから「口でしてやろうか」と言ったが、もう落ち着いたのか「いい」と断られた。助かった。  そろそろシドニーを起こしてメシを作ってやる時間が近付いてたけど、疲労で手も足も震えてるからとにかく少しでも横になっておく。 「はぁ……」  服を着る気力すら残ってなくて全裸のままでいたらショットが着せてくれて、その成長が嬉しかった。前後とか裏表とか、いろいろ逆だったりしたけど。 「おい、お前も、ちゃんと服着ろよ……風邪ひく、から……」 「ん」  ゴソゴソとズボンだけ履いて上稞のまま抱きついてきたな……と思いながらも俺は眠気に勝てず、家を出る準備をすっかり済ませたシドニーに「そろそろ行きますけど」と声をかけられるまで完全に爆睡してしまった。  そのまま大慌てでバタバタと出掛けて、フラフラで帰ってきて、まだ上稞のまま寝てるショットをそのまま放置して隣に潜り込んでしっかり風邪を引かせちまったせいで、俺が連れ去られかけたり首を切られたりショットに軟禁されたり……とその後に色々大変な事件が起きたりもしたんだが、それはまた別の話だ。

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