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第84話 ケンカの後は仲直り ※R18

【ケンカの後は仲直り】 「……おい、寝ちまったのか?ショット?」  俺がやけどをして、軽い言い争いをしたその日の夜。"仲直り"しようって話をしてたから、なんとなく俺はすっかり"そのつもり"で準備してきちまったのにアイツがヤリ部屋にいねえから、あれ?と思いつつ寝室に戻るとベッドに潜り込んでしっかり寝てやがった。 「なんだよ」  白状すれば、俺は喧嘩の後の甘ったるいセックスを期待してた。これじゃ完全に間抜けじゃねーか。気恥ずかしくて「チクショウ」と悪態を吐きながら隣に潜り込むとなんとも平和な顔でスヤスヤ眠ってるから、まあいいか……と思わされちまった。  数時間後、息苦しくて目を覚ますと背中にピッタリとショットがくっついてて、首の下に通してある右腕と腹に回されてる左腕でぎゅうぎゅう抱きしめられてた。 「う……」  ちょっと苦しいのと、同じ体勢を続けてたから体が痛い。起こしたら悪いなと思いつつモゾモゾと腕の中から抜け出せば触れ合っていた部分に汗をかいてて、それが空気に触れて少し寒さを感じた。  夕方にフライパンでやけどをした右手の甲がまだヒリヒリ痛いけど、すぐ振り払ったしよく冷やしたから酷い水脹れになったりはせずに済んだ。  寝返りを打ってショットの方を向くとよく眠ってて安心する。コイツ、あんなに野生動物みたいなのに多少俺が動くくらいじゃ起きないんだよな。  ここが安心できる場所だって分かってるんだな……と思うと無性に愛おしくなって触れたくなったけど、それこそ起こしそうで我慢する。 「……んん」  けど、あんまり寝顔を見つめてたから何か感じ取ったのか不機嫌そうに眉間に皺を寄せて顔を押し退けられた。 「いてて」  思わず笑うと反対向きに転がされてまた後ろから抱きつかれた。結局またこの体勢に戻されちまったな。 「も、あさ……?」 「まだだから寝とけ」  この感じは寝てるんじゃねーかな。たまにこんな風に寝てる時に割とハッキリ喋る時があるけど、全く覚えてないらしい。 「ちゃ……さっき」 「ん?」 「おれ、あっちいって、言った……ごめん」  まだ気にしてたのか……いや、俺が大袈裟に「悲しい」って言ったせいかもな。まあ実際あんま言われると悲しいから嘘でも言わないで欲しいのは本心だけど。 「シュート?起きてんのか?」  首を捻って振り返るとうっすらと目が開かれてた。コイツの場合は目が開いてるからって起きてるとも限らないのが見極めの難しい所だが……この体勢だと左目しか見えないから、余計にわからない。喋ってるうちに起きたんだろうか。 「いいよ、心配してくれたんだろ。俺こそ心配かけてごめんな」 「……ん」  ゴソゴソ背中で動く気配がしたかと思うとうなじに熱い舌が押し当てられて、甘噛みされた。更にチクッと痛みが走って、強く吸いつかれたのが分かる。 「あ、こら、シュート」  そのまま服に手が突っ込まれて、慌てて止めようとしたけどその手の熱さに思わず身震いする。 「は……あ……っ」  首を舐めながら抱きしめられて、直接肌に触れられて、腰に膨らんだモノを押し付けられた。 「んっ、ん」  口に指が突っ込まれて、もう片方の手で全身を撫でられる。隣の部屋にシドニーがいるのに……。 「待てっ、待っ、あ、う……」  そのままズボンに手が突っ込まれたかと思うと俺の唾液で濡れた指が躊躇なく侵入してきた。皮肉にも準備しておいちまったもんだから簡単に奥まで入り込んでくる。 「ふぅ、ふっ……う……っ」  制止するのも叶わず、ただ息を殺して体内を探られる感覚に体を震わせた。 「ちゃた」  横向きに寝てた状態から片足を前に出して半分うつ伏せみたいな格好にさせられて、覆い被さるように後ろから愛撫されて、俺は逃げたいハズなのに何故か拒否できなくて……正直興奮してる自分に呆れた。 「はっ……はぁっ、あっ、あ」  とにかく大きい声は出せない。なるべく声を出さないように我慢してるってのに、無遠慮に前立腺を押されて体が勝手にビクビクッと仰け反った。 「……っ!んっ……ん、はあ、あっ」 「ちゃた、いい?」 「ックソ……あっ、あんま……、激しく、すんなよっ……」 「ん」  しばらく解された後に指が出ていったかと思うと間髪入れずにズボンと下着をズラされて、ショットのがヒタリと当てられた。何もしてねえハズなのにソレはしっかり硬くなってて、先走りの滑りを利用して押し入ってくる。 「っふ……ふぅっ、ん、んっ……!」 「ちゃた、きもち……」 「んん、ん……っ!!」  お互い寝転がったまま後ろからこんな風に繋がるのは初めてで、声を出せない状況にすら妙に昂っちまう。  激しいピストンは無くゆっくり揺さぶられて、腹に手を当てると俺の中で別の生命体が動いてるのがなんとなく分かる。 「あ、はぁっ、う……」  そしたらその手にショットも手を重ねてきて、グッと押さえつけられた。デカい声が出そうになって、慌ててショットに握り込まれてる手を引き抜いて口元に当てる。 「うっ!あ、あっ、やめ、あ!」 「きもち……ちゃた」  馬鹿力で押し潰されて、ショットの手のひらとペニスが俺の内臓越しにぶつかってんのを感じる。まるでハラをオナホ扱いされてるような気分になって、屈辱なのに気持ちよくて、何がなんだかわからねぇでクラクラした。 「あぁ、あっ、もっ、いく、いくっ」 「ん……」  そんな風に後ろを犯されながら、自分で自分のモンを扱く。 「あっあっ、あ……っ」  イキそう……そう思った瞬間、ショットに強く握り込まれて射精を止められた。 「あっ、なにしてっ、ひっ、あ、あっ……!!」  大声が出そうになって、慌てて両手で口を押さえる。出してないのにイッた状態になったのか、あまりの刺激に体がガクガクと痙攣するのを止められない。  体の中も勝手に収縮して、ギュウギュウとショットのを締め付けてるのが分かる。 「はっ!あっ……あ、あっ、あ」 「っ……ふぅ、ちゃた……へいき?」 「あ、あ……っ」  俺はまだ痙攣がおさまらなくて、強すぎる刺激にだらしなく開いたままの口から唾液が垂れる。でも落ち着くのを待たずに更にピストンされて、耐えきれず逃げようとシーツを掴んだ。 「ちゃた」 「待て、あっ、キツ……い」 「いたい?」  痛くはない。痛くは……、でももはや痛み以上に乱暴な快感の暴力だ。こんな、声が出せない状況で……。 「ちゃた、|むり《レッド》言ったら、やめる」 「はっ、あっ」  完全にうつ伏せで乗り上げられて後ろから突き上げられる。ショットなりに音を立てないよう気をつけているのか、挿入したまま奥を突くように動かれてベッドがギッギッと軋む音が聞こえる。  俺はすっかり敏感になってるせいで、もはや頭まで貫かれてんのかってほどの衝撃を感じた。 「ひ、あっ!く……っ、う、ぐぅっ……!」  背中に爪が立てられて痛みが走る。ヤバいくらい気持ちいい。頭がブッ飛んじまいそうで枕を噛む。今、理性を手放したら間違いなく大声を出しちまう。 「んっん、んぐっ!んんっ!」  首に噛みつきながらグルグルと唸ってる声が後ろから聞こえきたかと思うとその直後かき抱かれてハラの中にぶち撒けられる。 「あ、あっあっ」 「ふぅっ……ふーっ、ちゃた、ちゃた……っ」  毛布なんかいつの間にかベッドの下に蹴り飛ばされちまってるけど、汗だくになるくらい暑い。でもすぐ冷えて寒くなるだろう。 「も……抜け」 「もうちょっと」 「甘えんな、ばか」  俺はイけてないがもう限界だ。寸止めって体に悪いとか聞いた事あんだけど、本当だろうか。寿命が縮んだら絶対にコイツのせいだ。いや、何を今更……それどころじゃなく縮められてる。 「汗、冷える、から……」  強烈な疲労感に襲われて眠りそうになる。このまま寝たら、やばいのに……。  ***  寝たらやばい、と思いながらすっかり寝ちまったらしい。毛布は被らされてたが素っ裸のままで、何やらモゾモゾ動く気配で目が覚めた。 「ん、ん……っ?」  ハッと気がつくとまた寝転がったまま後ろから突っ込まれてて、ゆさゆさとハラの中をかき混ぜられてた。 「あっ、あっこら、寝込みは、襲うな、って!」 「んん」 「こらっ、おい、あ、あ」  昨晩ナカに出されたモンをそのままにして寝ちまってたせいか、裸のままで寝て冷えたせいか、腹が痛い気がする……いや、確実に痛い。 「やめろっ!離せ!!あ、ぐっ!」  グリッと奥を突かれて限界を感じた。 「|やめろ《レッド》!!」  その言葉にショットの動きがピタッと止まる。汚れてねえだろうな、さすがに大スカは本気で勘弁してくれ……と神に祈りながら体を捩って体内のモノを抜かせるとなんとか汚れてなさそうだった。 「いて……」 「ごめん、ちゃた、大丈夫?」 「ふっ、ふぅっ、うー……ハラ……痛ぇ……っ」  動けなくて腹を押さえながらなんとかそう言えば慌てて抱き上げてトイレに連れてってくれたが、心配して出て行かないショットに「出てけ!」とブチギレたり、シドニーが起きてくるまでに体を洗って服を着て、気持ちよさそうに眠ってるショットをベッドから蹴り落としてシーツを取り替えたり……。  当初の予定とは真逆の散々な"仲直り"になったわけだが、まあこれも俺達らしいなと思うと苦笑が漏れた。

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