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番外編◆もしもの世界のBOX 8

【もしもの世界のBOX 8】 茶太郎(12) テッド(7) ▼ご飯におよばれする話  学校から帰ってきて、家でのんびりしてたら母さんが急に「テッドくん家で夜ごはん食べる?」って聞いてきたからビックリした。 「……え、うん」  あんま意味わかってないけど、とりあえず行くに決まってる。 「今日?」 「そう、さっきお誘いの電話があったの。まあ行くって勝手に言っておいたけど」 「行く!!」  じゃあ今から送って行くから用意しなさいって言われて、慌てて着替えた。  おうちに着いて車を降りるとすぐテッドが出てきてくれて、飛びついてきた。 「わっ!危ないよ」  と言いつつ抱き上げる。 「いらっしゃい」 「おさそいありがとう、急にどうしたの?」  後ろからテッドのお母さんも出てきたからそう聞いてみたら「うーん」って苦笑いしてた。 「特別なことは何も無いの。ただ、一緒にどうかなって思っただけ」 「そっか、うれしいよ、ありがとう」  母さんは「2時間後に迎えに来るわね」って言い残して帰ってった。迎えに来なくてもいいのに。 「おうち入ろっか」 「……ん」  小さく返事をしながら柔らかいほっぺたをくっつけられてドキドキした。  その日のごはんはミートボールとスープだった。パンを小さくちぎって小さい手に乗せたけど、食べずに見つめてくる。 「ん?」  どうしたのって声をかけたらちょっとだけ口をあけるから、食べさせてほしいのかなって思ってミートボールを近づけたらパクッと食べた。 「もっと?」 「ん」  口の周りを拭いてからまた食べさせてあげる。そしたら、そんな俺たちを見てたお母さんとお父さんがテーブルの向かい側でくすくす笑ってた。 「甘えちゃって」 「小さい子みたいだな」  甘えられて悪い気はしない……というかうれしい。俺がいやがってないのを知ってるから、ふたりともニコニコと見守ってくれてた。 「おいしい?」 「……」  もぐもぐ動くほっぺたを見てると吸い付きたくなったけど、パンを口に入れてガマンした。  ごはんのあとはテッドの部屋でしばらく一緒に遊んでから、そろそろ帰ろうかって時間になった。 「テッド、茶太郎くんのおうちまで一緒に行こうか」 「え、送ってくれるの?」 「うん、さっき連絡しといたの」 「ありがとう!」  ここでお別れだと思ってたから、あと20分くらい一緒にいれるのがうれしい。 「ここに乗せるの?」 「そう、まだ7歳だからね」  8歳まではチャイルドシートがギムなんだって。そういえば俺も乗ってた気がする。 「早く大きくならなきゃ、10歳になってもチャイルドシートかもね」  大きいテッドなんて想像できないけど……お父さんもお母さんもスラッと背が高いし、きっと大きくなるんだろうな。 「じゃあ行くよ」 「うん、気をつけてね。茶太郎くん、来てくれてありがとう」 「こっちこそ、ごちそうさま!」  お父さんが運転してくれてる間、俺はテッドと車のうしろで手をつないで外の景色をながめてた。

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