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第2話
「今、帰りました!」
結局、今夜最後のクライアントの対応が長引き、母の煜瑾への電話から2時間後に帰宅した文維だった。
「おや?」
いつもなら、転がるようにして駆けだして出迎えるはずの、煜瑾の反応が無いことを文維は不思議に思った。
(寝てしまったのかな?)
時々、煜瑾はソファで眠ってしまい、そのあどけない寝顔で文維を誘惑するという悪いクセがあるのだ。
そんな煜瑾を期待して、真っ直ぐにリビングに向かった文維だった。
「お帰りなさい」
「え?」
そのリビングに向かう廊下の途中で、寝室からひょっこり顔を出した煜瑾に、文維は驚きを隠せなかった。
「唐…煜瑾…」
そこに居たのは、恋人の煜瑾ではなく、懐かしい高校の制服を着て、恥ずかしそうに自分を見る、高校の後輩・唐煜瑾だった。
「どういうことです?」
茫然と見つめる文維の視線に恥じらいながら、煜瑾は恋人の前にピョコンと飛び出し、全身を見せた。
「どうです?お義母さまが送って下さった荷物の中に、文維の高校時代の物が入っていたのですが、この制服が懐かしくて…」
クルリと背を向け、バックスタイルも披露してくれる煜瑾に、文維はこれが幻覚ではなく、煜瑾のおふざけだと分かってホッとする。邪 な自分の妄想が、こんなカワイイ煜瑾を見せているわけではないのだ。
「まるで煜瑾の物みたいにピッタリですね」
文維がそう言うと、煜瑾は嬉しそうに文維の胸に飛び込んでくる。
「そうでしょう?私の家にも制服は残っていますが、もう随分と前に小さくなって着られなかったのです。でも、こうして文維の制服を着て見たら、今の私にピッタリです」
満足そうな煜瑾に、文維も微笑む。
「可愛いですね。まるで本当に高校生の煜瑾を抱いているみたいで…。君は、あの頃と変わらない…」
「え?…そんな、成長していないみたいに言わないで下さい」
ジッと真剣な目で自分を見つめる文維に、煜瑾はクスクス笑った。
***
「あ…、ダメ…ダメです、文維…、そんなこと…」
いきなり文維に抱きすくめられ、ソファに押し倒された煜瑾は、大いに動揺した。
「何がダメなのですか?こんな格好で私を誘惑しておいて…」
文維は日頃のクールさも忘れたように、楽しそうに煜瑾の制服を脱がせにかかる。
「せっかくの制服に皺が付きます…」
妄想とは言え、清純だった高校時代を穢すような気がして、煜瑾は抵抗するが、文維にはむしろ、当時から興味はあったのに、手を出すことが出来なかった「唐家の深窓の王子」に触れるチャンスとばかりに、「高校生」の煜瑾を貪ろうとする。
「ダメ…、お願い…文維…」
身悶えする煜瑾に、文維はちょっとした悪戯心が芽生えてしまう。
「煜瑾は、高校生なんだから、私は教師ですよ」
「は?」
目の前の、好色な文維の表情に煜瑾は戸惑う。
「あ、あの文維…?」
無垢な瞳で煜瑾が問うと、文維はにこやかに答えた。
「包老師 、と呼びなさい」
「包…老師?」
純真な高校生である煜瑾の呟きに、文維はこれまで感じたことの無い高揚感を覚えた。
「唐煜瑾!」
「や~ん、ダメですってば~」
上着の金ボタンを外され、学年カラーの深紅のネクタイも奪われた。
「イイ子だから、大人しく、しなさい」
「そんな…、あんっ!」
包文維「老師」に強引に押さえつけられ、煜瑾も初めて感じる気持ちの高まりに気付く。
「どうして…?どうして、こんなことをするのですか?」
包文維老師は、赤いネクタイで煜瑾の両手を縛ってしまった。
(どうしよう。この背徳的なプレイは、かなりハマる…)
文維は、抵抗を封じられた、か弱く儚げな煜瑾が堪らなく愛しい。
「ダメぇ…、これ以上は、ダメです…ぅ。許して~」
煜瑾も無意識とは言え、不安げに身を捩っては、文維の欲望を煽ってしまう。
「悪い子だ…」
低く、甘い官能的な声で文維は煜瑾の耳元で囁いた。その声に反応してしまい、煜瑾はゾクリと身を震わせる。
「さ、さっきは、イイ子だって、言ったのに~」
泣きそうになりながら、煜瑾は声を上げる。そんな煜瑾の腕の動きを封じたことで、文維はラクラクと高校生のスラックスの前立てに手を伸ばす。
「ダメです…。包、老師…」
すでにウットリとして、忘我の心地の煜瑾だが、文維が仕掛けた「ごっこ遊び」は忘れない。
「ダメ…、制服を…汚してしまいます~」
「私が、明日、クリーニングに出しますから、心配しないで」
快感に突き上げられ、身悶えする煜瑾を、文維老師はさらに追い上げる。
「ほら…腰を上げて…」
濃艶で蕩けそうな声で、文維に誘惑され、素直な煜瑾は言いなりになる。
「ほら、しっかり舐めて…」
文維老師には逆らえず、煜瑾は求められるまま、差し出された、先まで整えられた長く形の良い文維の指を、口いっぱいに頬張り、たっぷりと唾液で濡らした。
「本当は、とってもイイ子ですよ、私のお気に入りの唐煜瑾は…」
「あぁ…ん、文維…老師…」
スラックスを下着ごと下ろされ、恥ずかしい姿にされた煜瑾は可憐に震えている。
「いや…ん、ダメ…、許して…、ソコ…」
ソッと体内に濡れた指を差し入れられ、煜瑾は怯えてしまう。
「ココが、なんですって?」
「イジワル~」
まるで愛撫のようにさえ感じる低い声で、文維は煜瑾の耳元をくすぐる。中への刺激と甘い囁きに、過敏な煜瑾は泣きながら快感を貪欲にかき集めた。
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