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第41話

「ロウが嫌なら、血液からの摂取じゃなくていい……唾液の方でいい。だから……」 言い訳じみた物言いを自覚すればするほど彼の顔が見られなくなって、目を伏せた。こんなの、口づけをねだるようなものじゃないか。 彼が返答するまでの間がいたたまれない。重大な宣告を待っているみたいだと思う。胸が爆発するんじゃないかと思えるほどに大きく脈打って苦しい。 これは、自分の感情だ。彼に明け渡せば嘘のように自分の中から消えてなくなっていくものだ。 「……ん」 一度目のそれがあまりにもめちゃくちゃだったからか、今触れている唇はやけに優しく思えた。唇をそっとあけると、舌が入り込んでくる。 「ん……ふ、ぅ……」 ただ分泌される唾液を絡めとるためだと分かってるのに、気持ちよさが勝る。いつも感情を移す時と同じだった。 「ぁ……」 唇が離れた。彼は自分の感情を、唾液ごと飲み下したのだろうか。いつも通り頭がぼーっとし、心の中が空っぽになったリンには、上手く判断できなかった。 ただ、離れたということは、終わったんだろう。そう思って、躊躇いなく彼の腕の中から抜け出そうとする。 「……?」 不審に思ったのは、腕の力が緩まなかったからだ。まだ逃がさないというようにリンの腰を抱く。 「ねぇ、ロウ……」 理由を聞くことができなかったのは、再び唇を塞がれたからだった。それも、思いっきり。
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