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第85話
頭が破裂するような感覚があった。
彼の中にある、自分以外の感情を吸い取り、彼を現実に戻した後、リンは吐き気と頭痛が止まらなかった。
施設に戻ってからも、蛍光灯がやけに眩しく視界の端をちらつく。ふわふわとした感覚が続いたかと思えば、体が地に叩きつけられるように重くなり、足が動かなくなった。
最終的には、胃の中はもう空だったから、酸っぱい胃液を吐いてその中に倒れこむ羽目になった。
薬の過剰摂取と、中毒および離脱の症状。しばらくは悪寒がひどく、起き上がることもできずに寝かされていた。扉の開く音は分かるが、部屋に誰が入ってきたのかまでは理解できない。頭がはっきりと動かない。
うとうとするというよりは、底に溜まった泥の中に沈んでいくように、リンは意識を手放した。
こんな状態で、夢など見ないと思っていたのに。
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