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第135話
施設の外に出られるかは五分五分で、途中で捕まったら自分の「処分」の予定は早まるのだろう。
ふたりいたら捕まる確率は2倍になるだろうし、3人なら3倍?ましてや、「兄」の感情が爆発して取り乱したらそれで終わる。
不確定要素ばかりだし、外に出てからも逃げないといけない。どこまで?施設の人間が追ってこないところまで。
そこまで考えたところでふと気づく。むしろどうしてその前提条件に気づかないまま、建物の外を夢想していたのだろう。
「ここ、どうやって出るの?」
目の前には分厚い鉄格子が行く手を阻んでいる。爆薬なんてそういくつもあるはずないし、人間ひとりふたりの力じゃびくともしないだろう。
そんなリンの横顔を見て、彼はにやにやしながら胸元を探る。握っていた手はいつの間にか解かれている。
「これ、なーんだ?」
小さな銀色の物体がふたつ。鍵だった。おそらく、この鉄格子を開ける鍵と、入ってきた部屋の鍵。
彼が取りだしたのは、鍵と爆弾がふたつずつ、よくもそんなに隠せていたものだと思う。
「人間、物を隠せる場所はいくらでもあるんだよ」
「……詳しくは聞かないことにする」
ロウをどんな目で見ればいいか分からなくなりそうだし。
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