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第148話
そんなことをしているうちに、肌がうっすらと熱の膜を張ったのは、感情に連動しただけじゃないんだろう。
「あ……やぁ……っ、なに、これ……」
最初は暑いだけだった。それが妙な掻痒感に変わり、次の瞬間にはじんじんと疼き出す。ただの感覚として処理できそうもないのは、そこに欲が伴っているから。
「さわって……なんか、むずむずする……っ」
「さわってんだろ、さっきから」
「そうじゃ、なくて……ん、ぁ……っ」
彼の指が掠めていくだけの胸の先。続いて触れたのは頭をもたげて蜜をこぼし始めた脚の間。そこも同様に触れられるだけで、芯をとらえることはなかった。
「いじわる……っ、あ、あぁっ……」
煽られると彼は噛みグセが出るのかもしれない。しかし、甘噛みでも今の体には刺激が強すぎた。食まれ、吸われ、それだけでも理性が焼き切れてしまいそうなのに、下を手で擦られればどうしても腰が跳ねた。
彼の方も興奮しているんだろう。漏れる吐息が荒くなっていく。余裕がなくなり、体中を這い愛撫する手も、口内をまさぐる舌も、自分を蹂躙していく。そしてそれを自分は紛れもなく望んでいたんだと、震える体で答える。
「ん、や……ぁ……」
あと少しで達することができたはずなのに。指が離されるとどうしても切なげな声が漏れる。
液体で潤いを足されたそこに性器をあてがわれても、引つるような痛みはなかった。むしろ望んでいたように粘膜が包み込み、収縮し、奥へと誘おうとする。
「だめ……もう、とける……っ」
「オレも」
「ん……っ、あ、あぁっ……」
体が覚える感覚が全て快楽に塗りつぶされていく。鋭すぎる快感は怖い。だから怖くないようにと、もっと近くに来て欲しいと彼の体を抱きとめる。しっとりと肌に滲む汗にすら感じて、全部が気持ちいい。
次はもっと愛しくて仕方ないってなった時がいい。
彼の言っていたことがよく分かる。感情を移さなくても、今、互いに愛しいという気持ちを抱いてる。だからこんなにも気持ちがいい。
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