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第19話
音を立てるキスをされながら布団の上にゆっくりと寝かせられる。慎重な手つきに愛おしさのメーターが降り切れそうだ。
「身体を触る。嫌だったら我慢しないで言ってくれ」
少し上擦った声がイリヤらしくない。それだけ緊張しているのだ。三毛を傷つけないようにと律してくれているのだろう。
つるりとした指の腹が皮膚に触れられる。肌に馴染む触り心地は気持ちいい。脇腹を撫でられているだけなのにぞわぞわと得体の知れないものが足元から這い上がってくる。
指が明確な意思を持って胸の尖りに触れられた。そんなところ自慰ですら触ったことがない。
それなのにイリヤに触れられただけで熱を帯びていくのがわかる。
「んっ……んあ」
「固くなってきたな」
イリヤの声が弾んでいる。こんな男の薄っぺらい身体を触って楽しいのだろうか。
でも太腿に押し当てられた性器は興奮しているのだと伝えてくれる。
「舐めていいか?」
「そんなことする必要ある?」
「あるよ」
浴衣をさっさと脱がせられた。暗がりで見えないはずなのにイリヤは迷わず胸に吸いついてくる。
「んっ」
指とは違った刺激に甘い声が漏れた。舌の先端を尖らせて飴みたいに舐められる。いやらしい舌の動きに合わせて腰が揺れてしまう。
反対側を指で捏ねられ、びりっと電流が頭ではなく下肢に集まる。
男の性欲は頭ではなく、下半身なんだなと身を持ってわからせられた。
「やっ、これ……んんっ」
首を振って抵抗してもイリヤにちゅうと強く吸われて、視界が歪む。
「あっ、あぁ」
乳首への余韻を残して、イリヤの頭が降りていく。臍周りをちゅっと音を立ててキスをされた。
ここの中に挿入るのだと言われているようで腹の奥がきゅんとしてしまう。
「あぁ……んっ、」
「下も舐めるぞ」
「待って、だめ……んん」
下着を脱がされて兆した性器を躊躇わず舐められた。熱い咥内にびくりと腰が跳ねる。
柔らかなイリヤの毛先が足の付根に触れて甘い声が漏れた。
全身が剥き出しの性感帯のように少しの刺激でも快楽に変換される。
じゅっと強く吸われ、堪えきれない欲をイリヤの咥内に吐き出してしまった。
「ごめ……出ちゃった」
「気持ちよかったか?」
「うん」
頰を撫でられてふにゃふにゃのまま頭を擦りつけた。気持ちよくて下半身に力が入らない。
足の間に割って入ってきたイリヤの眼前に尻を突き出す体勢にさせられる。恥ずかしいのにこの先に待っている悦楽に期待の眼差しで見下ろしてしまう。
「尻尾も素直だな」
「え?」
三毛の意志ではなく、尻尾が勝手にイリヤの腕に絡まっていた。あまりの痴態に頬が熱い。
「こ、これは」
「可愛い。この尻尾も耳も。三毛のすべてが愛おしいよ」
「……よくそんな恥ずかしげもなく言えるな」
「俺は思ったことしか言わない主義なんでな」
イリヤは小さく笑うと腰を折った。唾液を纏わせながら蕾を舐められる。ひくんと中が締まった。
丹念に舐められたあとは指が入ってくる。痛みよりも慣れない圧迫感のせいで苦しい。
「息を吐け」
「はぁ……ふっ」
「上手だな」
褒められると嬉しくて何度も深呼吸をして身体の力を抜く。そうすると指が奥まった場所まで入ってくる。
それを何度か繰り返して指が二本入るまでになった。
動ける範囲が広がると指が探るように中を押し上げた。ある一点を押されると新たな刺激に目を瞠った。
「あっ?」
「ここか」
「そこっ、だめ……怖い」
「力抜け。痛くしないから」
熱い吐息が足の付け根にかかり、ぞくりと肌が粟立つ。
小さく頷くとまたそこを押された。ビリっとした快楽が全身に走る。なんだこれ、なにこれ。
混乱しているとまた押された。今度は少し強く。そうすると性器から蜜が溢れて茎を濡らし、シーツに染みをつくった。
「あっあ、んんっ……」
自分の体内が変わっていくのがわかる。まるで細胞分裂を繰り返しながら成長する胎児のように排泄器官だったそこがイリヤを受け入れる器官へと進化をしていく。
「悦さそうだな」
「……早くきて」
指でも苦しいのに中が寂しくなる。これだけじゃ嫌だ。
見下ろされる胡桃色の瞳が鋭く光る。どうやら焚きつけてしまったらしい。
指を抜かれると同時に性器をあてがわれる。少しの抵抗のあとに性器を受け入れ、奥へと誘うように肉壁が柔らかく包み込んでいく。
「あっ、んん……あ、あ」
「キツイな。でも温かい」
覆いかぶさってきたイリヤから汗が滴り落ちてくる。背中に腕を回すとひと泳ぎしてきたようにびっしょりと濡れていた。
引っつきたいのに汗のせいで手が滑る。爪を立てると一瞬だけイリヤは顔を顰めたが、すぐに笑った。
「本当、猫みたいだな」
「ちがっ……んぅ」
文句を言おうにも腰が揺さぶられてしまって猫のように甘えた声が漏れた。
可愛い、と繰り返されるともっと甘えたくなる。尻尾がイリヤの腕に絡まってもっとと強請った。
中の性器がぐんと硬くなる。
「中、出していいか?」
「うん……いいっ、から……あっ」
腰を掴まれ最奥を貫かれると炭酸の泡が弾けるように欲を吐き出した。ぎゅっと中を締めつけてしまい、追いかけるように熱いものが注がれる。
「はぁ、ふっ……え、なに?」
終わったと布団に身体を預けると腕を引っ張られ、イリヤに跨るような体勢にさせられた。
訳がわからないままでいるとイリヤは初めて会ったときのように意地の悪い顔をしている。
「一回で終わると思うなよ」
「そんな」
情けない声はキスで塞がれてしまい、再び中を擦られた。
達して冷えた身体はすぐに熱を取り戻す。すぐに意識は快楽へと犯されて夢中になってイリヤを求め続けた。
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