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マイハニーミルク【8】

 八尋が望との年の差を気にしていることは知っている。だが望に理解はできなかった。  七つ上ではあるがそれほど大きな差だとも思わないし、何より八尋は綺麗だ。薄茶の髪に茶色の切れ長の涼し気な目元。一見冷たそうだが実際はケラケラと笑い親しみやすい。まだ三十代に入ったばかりで見た目は二十代にしか見えないが、きっと年齢を重ねていっても八尋の魅力は増していくだろう。  Ωは男性であっても華奢で童顔な者が多いが、八尋は三十一歳までΩのホルモンが出ていなかったせいか、比較的しっかりとした骨と筋肉を持っている。その土台を覆うのは滑らかで白い肌。その対比が実にエロティックで望を煽っていることを八尋はきっと知らない。  望はベッドに横たわらせた八尋のTシャツを捲り上げた。 「舐めてもいいですか?」  露出させた淡いピンクの突起に息を吹きかけるように尋ねる。 「で、出るかわかんないけど……っ」  許可をもらい、その愛しい粒に舌を這わせる。触れた瞬間、八尋の身体がビクリと震えた。  望は八尋のミルクだけが欲しい訳では無いのだ。ミルクはもちろん魅力的だ。だがそれが無くても八尋を抱きたいし愛したい。 「んっ……!」 「少し出ますよ。おいしい……」  左右両方の粒を交互に吸い上げ、瑞々しい触感を楽しみながら舐め回す。八尋は堪えられないようで微かに腰をよじらせ、さらに反応してきた男性器がハーフパンツを押し上げている。その昂りを布越しに優しく撫でつつ、望は八尋の胸から口を離した。 「八尋さんの乳首、ちょっとだけ大きくなってきましたね」  そこを観察しつつ八尋の顔も見ると、恥ずかしそうに口元を腕で覆い目を逸らしていた。  八尋が寿司屋で鴨志田に絡まれ胸を触られた事件。ボディガードの岩村からの報告で、鴨志田が『君のこのちっちゃい乳首、僕が初めて吸いたかったのになぁ』と八尋に言ったことは望も知っている。  ホワイトフリージア園で客のαに見せられるΩたちのカタログ。八尋も載っていると聞いた時、望はすぐさまそれを削除させた。削除させる際に中を確認したが、確かに八尋が言う通り、大勢のΩたちが胸を強調するポーズで並ぶ中、八尋はただ無表情の直立で写っていた。しかし逆に目立っていた。ポーズだけの問題ではない。他のΩたちは十代からαたちに胸を吸われて乳首が肥大している。しかし八尋は成人しているにもかかわらず、誰にも触れさせたことがないと分かるほど慎ましやかだった。真っ白な肌にプツリと浮かぶ薄紅色の小さな乳首。αの男たちには十分すぎるほど魅力的だった。 (ま、この可愛い乳首は僕だけが育てるけど)  あの痴漢野郎鴨志田は殺してやりたいくらい憎いのだが、微かな優越感もあった。八尋はあの男を心底嫌悪していたが、望には恥じらいつつもうっとりとその胸を差し出すのだから。

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