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マイハニーミルク【9】
「んっ……! んぁっ、の、のぞむっ!」
執拗に八尋の胸を舐め回し、指先で弄んでいると八尋が望の肩を押し、身を起こした。
「お、俺ばっかり……っ」
八尋は耳まで真っ赤に染めながら、望のスラックス越しに望の昂りをそっと撫でてきた。
「舐めてやるよ……」
「や、八尋さんっ……」
八尋は赤く染まる目元を伏せて、望のベルトに手を掛けた。
「だ、だだだダメですっ!」
望は焦ってベルトを握る八尋の手を握ると、八尋はムッとしたように睨み返してきた。しかし睨むその目も色っぽい。
「なんで?」
「だって、僕シャワーも浴びてないんですっ!」
「別にかまわないよ。望なら……」
「ぐっ……で、でもダメですっ!」
ヒートの時はひたすらグズグズに甘えてきた八尋。しかし正気の八尋は何もせず“マグロ”でいる気は無いようだ。このままでは本当に押し倒されて無理やり股間を舐められかねない。
(それはそれでいいんだけど……っ)
望は一瞬の誘惑を振り払い、八尋を見つめた。
「とっても魅力的な提案ではありますが、そ、それはまた今度で……っ!」
望は強く意思表示した。すると八尋は「じゃあ」と呟いてベッドのヘッドボードからコンドームの小箱を取り出した。
「……着けてやる」
「……っ!」
八尋は紙箱から包みを一つ取り出すと、再び望のベルトに手を掛けた。望は一瞬迷ったが、舐めるられることを断っただけにの二度目の拒否はしにくい。
望が胡座をかくように座ると、八尋がそのベルトを外しスラックスのファスナーを下ろす。望のその中心部は既に膨張し黒のボクサーパンツを押し上げていた。八尋は迷わずその黒い生地をずらし中身を外気に晒す。
「でか……」
飛び出した望の巨塊を見つめ、八尋が小さく呟いた。
「先週散々見せてましたけど……」
「ん、なんか……記憶、朧げで……」
八尋は恥ずかしそうに目を反らしながらゴムの包みを開け、取り出したゴムを望の亀頭に乗せ、くるくると薄い膜を広げ被せていく。
「なんか、手慣れてますね……」
八尋に自身の性器を世話してもらっている光景にさらなる興奮を覚えながらも、望はちょっとムッとして尋ねた。
「俺、もう三十一だぞ?」
八尋は笑うと装着し終えた望の中心部から手を離し、自らのハーフパンツと下着を脱ぎ出した。
望はそれを見つつ、腹の奥からもやもやと湧き上がる嫉妬心に耐えていた。
(誰かにコンドーム着けた経験があるってことか? 八尋さんは確かにヴァージンだったけど、その手前までは誰かと……?)
考えを巡らせつつも、八尋が脱いでいるから自分もと思い、ベストのボタンを外しているとその手に八尋が手を重ねてきた。
「童貞なわけないだろ? 処女はやったんだから怒るなよ」
八尋が困ったように笑いながらTシャツ一枚の姿で望の腰に跨ってくる。
(ああ、そうか。抱く側で自分にゴム着けたことあるのか……)
望にとって八尋は抱く対象で、八尋が今までβ男性として生きてきたことがすっかり頭から抜けていた。女を抱いていたことにも正直嫉妬心は沸くが、相手が男よりは格段にマシだ。
悶々とそんなことを考えていた望に八尋は小さな声で付け加えた。
「あと……脱ぐなよ。スーツ、カッコいいから……」
八尋は頬を上気させ潤んだ瞳で望を見つめてきた。
「ぼ、僕のスーツ姿に興奮してくれてるんですか!?」
八尋がそんなことを言ってくれるとは思っていなく、望は思わず声を荒げた。
事あるごとについ『八尋さん可愛い』『八尋さん好きです』と言ってしまう望に対して、八尋はあまりそういう事は言ってくれない。望が『好き』と言われたのはヒート中だけだ。もちろん、八尋の想いを疑っているわけではないが。
「……ん、前と違うの着てるから。ちょっとドキドキしてた……」
父親に叱られて仕方なく着ていたスリーピーススーツ。クールビズの昨今と時代を逆行しているし、実際暑苦しく不快だったが、八尋がカッコいいと思っているなら話は別だ。
「ああ、八尋さんっ……」
跨った八尋の尻の下で、その柔らかな谷間に挟まれた望の昂りがずくりと脈打った。
もう我慢できない。
「八尋さん、全部脱いでくださいよ」
望は八尋の肌を堪能したくてそうお願いした。
「でも、ミルクでスーツ汚しちゃうから……」
「もうクリーニングに出す予定なので大丈夫です」
嘘も方便。スルリと出た望の言葉を信じて、八尋はおずおずとTシャツを脱いだ。
ネックガードだけつけた全裸の八尋が、ワイシャツにネクタイとベストをしっかり着込みながら、イチモツだけ出して座っている望に跨っている。
「ヤバい……すっごい背徳感………」
「い、いやらしい言い方すんなよっ」
恥ずかしさに耐えきれなくなったらしい八尋が睨んで抗議してきた。
「いや、だって実際いやらしいでしょう? ほら、八尋さんミルク滲んできてますよ」
「のぞっ……んっ!」
細い腰に腕を回し抱き寄せ、左右の乳首をペロペロと舐め回した。すると八尋の尻の谷間が濡れているのを望は自身の昂りで感じ、腰を抱いていた右手でその谷間を探り蕾を確認した。
「ヒートじゃなくてもこんなに濡れてくれるんですね」
「はぁんっ! のぞむっ……!」
蕾に中指をゆっくり飲み込ませると八尋はビクリと震え、望のベストを掴んできた。さらに乳首もクリクリと舌で転がすと蕾もヒクヒクと蠢いてくる。
「乳首、やっぱり弱いですね。気持ちいい?」
「んっ……ぁ……っ!」
蕾の中を二本に増やした指で弄り、胸を舐めながら話すと八尋はさらに身体を震わせる。
「凄いヌルヌルです。もう入れていいですか?」
望が尋ねると八尋は自ら望の昂りに手を添え、自身の蕾へと導いた。
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