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第49話*
本館のレストランで夕食を摂り、ルークさんと3人でバーで飲んでから宿泊するヴィラへ向かう事になった。
ここでわかったのは、ルークさんがお酒に弱いという事。
カクテル2杯でへろんへろんになって、顔馴染みだっていうホテルマンにホテルの部屋へ運んでもらってた。
カイもまだ2杯しか飲んでない。
おかげでカイも酔っ払いオオカミになりきらずに済んで良か・・・。
「りぃ、honeymoonの由来は知ってる?」
あれ・・・?
なんで酔ってんの?
カイだってカクテル2杯くらいしか飲んでなかったよね?
・・・なんてカクテル飲んでたんだっけ、そんなに強いやつだったのかな。
「由来?知らない・・・けど、なんで英語だとhoney なんだろ。子どもの時は、ハネムーンのハネは羽の事だと思ってて、飛行機で旅行に行くからだと思ってた」
だから、プライベートジェットで旅行してる今は、俺にとって正 しくハネムーン。
「ふふっ、可愛い発想だねぇ」
ご機嫌オオカミと手を繋いでヴィラの玄関を開ける。
入ってすぐ目に入るのは広いリビングダイニング、その先にはプライベートビーチを臨むテラス、手前右側にあるドアの先はトイレとシャワーブース。
リビングに入って左奥には螺旋階段があって、寝室とバスルームは2階にある。
「まあ詳しい由来はどぉでもいいんだけど、大事なのはhoneyだよ」
リビングのソファに座り、俺を膝に跨らせて酔っ払いオオカミが宣 う。
どぉでもいいって、自分で聞いといて・・・。
「蜂蜜酒を飲んで、子作りに励むのがhoneymoonなんだよ」
「こづ・・・んんぅ・・・っ」
蜂蜜酒?
そんなの飲んでた?
カイが飲んでたカクテルは、1杯目がオリーブの入った透明なやつで・・・たぶんマティーニって言ってた。
お酒に詳しい訳じゃないけど、蜂蜜酒じゃない事はわかる。
2杯目は琥珀色の・・・なんて言ってたかな・・・確か・・・。
「んっ・・・んぁ・・・まっへ、みーどって・・・?」
「蜂蜜酒」
飲んでたーっ!
カイのキスが首筋へ移り、シャツの中に手が入ってきて、背中を撫でられながら胸を弄 られる。
「ふぁ・・・ぁんっ」
「りぃ・・・俺の璃都 ・・・蜂蜜より甘くて美味しい・・・」
お尻に、ごりって、硬いのを押し当てられる。
もぉそんななってんの・・・。
シャツを脱がされ、ソファに押し倒された。
自分もシャツを脱いで、俺の胸に舌を這わせながらジーンズを下着ごと脱がせてくるカイ。
「ぁ・・・んっ、カイ・・・っ」
「ハネムーンベビー作ろうね、りぃ」
できないっ!
赤ちゃんできないよっ!
わかってるんだろうけど、俺は男子なのでっ!
「ひぁ・・・ゃんっ、ん・・・んぅ・・・っ」
大きな舌が、ナカを広げながら侵入 ってくる。
ぞくぞくと、腰が疼 く。
受け入れる事を覚えさせられた身体が、すぐに熱くなった。
「はぁ・・・っん・・・も、いぃ、からぁっ」
「ほんと、せっかちだねぇ。もう我慢できない?欲しい?」
自分だって切羽詰まった顔してる癖に、熱を押し当てながら聞いてくる。
いらない、なんて俺がもう言えないの、わかってるからだ。
「ほし・・・欲しいっ、カイ、挿 れて・・・ぁうっ・・・んぅうっ」
キスで口を塞がれながら、ナカを埋められる。
声も、息も、ナカも全部、カイのモノだって教え込まれてるみたいだ。
「んぁっ、あっあっ・・・ひぁっ」
はげし・・・いきなり激しいです旦那様・・・!
まって、待って・・・ちょ・・・。
「ぅあっ、らめ・・・まっ・・・いっちゃ・・・っ!」
「イってよ璃都っ、可愛くイくとこ見せて・・・っ」
「んぁあ───っ!」
・・・いった・・・イったから、腰とめて!
まだ初日なのに・・・明日は海で遊ぶって言ってたのにぃっ!
───────
「まだご機嫌斜めなの?そろそろ赦して、可愛い奥さん」
俺を膝に座らせて、後ろから抱きしめながら、頭やら頬やら首やらにキスを降らせる絶倫オオカミ。
2階のバスルームで、一面の窓から海を眺めながら、ジェットバスに入ってる要介助者の俺。
昨夜 は1階のソファと、シャワーブースと、2階のベッドルームで散々無体 を強 いられ、午前中の島散策はキャンセルになった。
「バカオオカミ」
旅行中は怒らないって決めてたのに、さっそく無理だった。
「ごめん。璃都は美味しくて、ミードよりよくキくから自制できなくて」
「俺にアルコールは含まれてません」
「ふふっ。お酒よりキツいよ。まるで麻薬だね。依存性も強いし、離れると禁断症状で死にそう」
「更生しなさい」
「できない」
ダメオオカミめ。
あ、駄狼か。
「はぁ・・・、俺の旦那様は完璧だと思ってたのに」
「ん、もっと言って。俺のって」
喜ぶなよ。
番が足腰立たなくなってんのに。
「なんか、俺からカイにできるお仕置きとかないかな」
「ナニしてくれるの?楽しみ」
「喜ぶなってば」
風呂から出て、着替えてから1階に下りたら、このヴィラの専属バトラーが食事をテラスに用意してくれていた。
昼食も豪華だなぁ。
バトラーは現地の人らしく、流暢な英語で穏やかに話し、部屋にある電話で呼ぶとすぐ対応してくれる。
シグマもそうだけど、プロって凄いなぁ。
「午後の予定は?」
「グラスカヌーなんてどう?座ってるだけでいいみたいだし。明日はシュノーケリングしよう」
「グラスカヌー?」
───────
透明なカヌーに乗って、足元に広がる珊瑚礁とちらちら泳ぎ回る魚たちを見る。
・・・これは、いいな。
「璃都、夢中だな。お魚いるねぇ。食べちゃだめだよ?」
「ん。魚いっぱいいる。なんか、手で獲れそう」
「ふはっ、だめだってば。見て楽しんで」
「ん。みんな派手で美味しくなさそーだしね」
「ふ・・・っ、くく・・・っ」
カイ、笑い過ぎ。
俺、割と本気で言ってんだけど。
俺たちが乗ってるグラスカヌーをジェットスキーで牽引してるルークさんまで、笑ってるの見えてますよ?
「璃都様はネコの獣人でしたっけ?」
「いえ、人間です」
「先祖にいるのかもね、ネコ獣人」
「先祖にいたら人間では生まれてこないはずでしょ」
父親か母親のどちらかが人間だとしても、子どもは必ず獣人が生まれる。
だから、俺にネコ獣人の遺伝子は含まれてない。
知ってる癖に。
「・・・あっ!ねえ、あれ!サメ?でかい!サメ!?」
「サメだね」
「ネムリブカですね」
サメ、いるんだ・・・。
良かった、魚獲るのに海に手を突っ込まなくて。
「大丈夫だよ璃都、食べられたりしないから」
「わかんないじゃん。手を餌と間違えてばくってくるかもじゃん」
「まあ、絶対噛まないとは言いきれませんね」
「ほらぁ!」
ネムリブカは、ゆーったりと泳いで岩陰に潜っていった。
その上をグラスカヌーがゆっくり通過していく。
岩陰から目が離せない俺と、そんな俺を見て笑うカイとルークさん。
・・・海に落としてやろうか。
そんな感じで、和やかに海上散歩を楽しんでからビーチに戻った。
「夕食はどうしますか?昨夜と別のレストランか、ヴィラのテラスでBBQもご用意できますよ」
「明日はシュノーケリングしたいから、お酒以外でお願いします」
「璃都、お酒は食事じゃないよ。それに、ミードを飲まなくても璃都を吸えば・・・」
「吸うなあっ!」
「あっはっはっはっ!」
ルークさんに爆笑されつつも、夕食は昨日と別のレストランを予約してもらった。
昨日は肉系だったけど、今日は魚介系。
「このカニ、ハサミでか・・・」
「殻取ってあげるから、ロブスターから食べたら?璃都は好きなはず」
「食べた事ないよ、なんでわかんの・・・んんっ!んーふぃ!」
「ふふっ」
食事中、さり気なく白ワインを飲んでいたカイだったけど、りっくんがいないからゆっくり飲んでて、昨夜みたいな惨事は起こらなかった。
・・・まあ、無傷ではなかったけど。
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