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第15話 ケモノ
「あー。うんちとかのこと? 人間だけだよ、うんちを汚いって思う変わった生物は」
そんなハッキリ。いやまあ、そうなんだろうけど。
「俺はね、ベリちゃんのにおいが濃い方が良いしさぁ。むしろお風呂入らないで?」
「それは、流石に……」
「身体を清めるのは俺がするから。それ以外では入浴禁止ね?」
「ええっ! 嘘でしょ⁉」
そこまで管理されるの?
「四つん這いになって、こっちにお尻向けて」
え。もう!
腹は括ったはずなのに、いざとなると尻込みしてしまう。
「や、やだやだ! まだ、お話ししようよ……」
「もう我慢できないから。焦らさないで」
後ろを向けさせられ、頭をシーツに押さえつけられる。捕獲された獲物のように。
腕力の関係上、されるがままだ。
「ううっ」
「そうそう。腰は高く上げておいてね?」
ま、まじで? 俺、今からタクトくんをお尻で受け入れるの?
ドクドクと心臓が走り回る。
「うっ」
未知の恐怖でシーツを握りしめた。
「人間って発情期無いんだって? 年中出来るって素敵だね」
背後から覆いかぶさってくる。改めて見ても、大きな肉体。
お尻や背中に当たる毛が、くすぐったい。
「そう、なの……?」
「そうなのって。ベリちゃんもしかして性欲薄い方? いいね。常に俺と交尾したくなるように、とろっとろにしてあげる」
上から手を重ねてくる。驚くほどあたたかい。熱いくらい。
(まさか、タクトくんも興奮してるの……?)
この時の俺は、タクトくんにも指摘された通り自己肯定感が低く。彼が俺のことを「好き」だから抱くなんて、思いもしていなかった。
俺のことを好きになる人がるなんて、想像もしていなかったから……。
ただ、性欲を発散したくて抱くんだろうなと、そんなことを、当時の俺は思っていた。
タクトくんから直接言葉で伝えられていなかったとはいえ、今思うと、鈍感にも程がある。
「うあっ」
お尻に何かが当たる。
「あ、そうだ。解さないといけないんだった」
背後から怖いセリフが聞こえた。ちょっと⁉ 思い出さなかったらそのまま突っ込むところだったの? 俺の尻を丁寧に扱って!
怒りのまま振り返ったが……振り返ったことを後悔した。
タクトくんががっしりと腰を掴んでいる。
「……?」
あれ? ローションとか、使わないの?
彼は平然と、俺のお尻を舐め始めた。
「ふひゃあっ! 何して……」
「大丈夫。きちんと解すから」
「んっ……。嘘。ふ、ぁ」
彼の手を振り払えない。お尻を動かせない。
俺はシーツを握るしかない。
広げられた尻の割れ目を、生温かいものが擦れた葉っぱのように貼りつき、上へと滑っていく。
「ああっ!」
未知の体験に膝が震える。
何度か同じ動きを繰り返すと、舌先が穴をノックする。
「お邪魔しまーす」
「や、め」
衝撃が走り目を見開いた。
ぐちゅぐちゅと入り口が押し広げられる。
「ベリちゃんって、下のお口も小さいね」
「ひぃ! ひゃあ!」
舌の先端が何度も半回転して、ドリルのように進んで行く。
「あ、っぁ、あ……」
ガクガクと震えてしまう。痛みなのか、羞恥なのか、快感なのか。きっとそれらがごちゃ混ぜになっているからだ。
「やだぁ! あ、もっと、アッ!」
「え? もっと? も、もう。大胆だね」
――ち、違います⁉
(もっと、ゆっくりして、って、意、味……ッ)
早めに訂正しないといけないのに、俺の口は鳴き声しか発さない。
「ひゃああ! あ、ああ!」
生温かいものが、奥へ奥へと進んでくるのを感じる。そのたびに内部が押し広げられ、舐められ、脳に刺激を伝える。
「タクトく……ん。はっ、あ、ああ」
(うお。エッチな声……。激しい方が好みなのかな?)
最悪のすれ違いが起きていた。お、俺のせいで……。
優しい彼は俺の要望を叶えてしまう。
「ッ! いあ!」
自分の意志とは無関係に魚のように身体が跳ねた。何が起きたのか分からなかったほど、脳に火花が散る。
最も感じる部位のひとつ。所謂前立腺に舌が届いていたのだ。
俺の反応から前立腺(イイトコロ)の場所がばれてしまう。
(ここかな?)
人間より長い舌が容易くソコをつつく。
「ひぎぃ⁉ だめえ‼」
(ここか)
タクトくんがそこを重点的に攻め始めた。熱と快楽が洪水のように押し寄せる。童貞の俺は堪ったものではない。
ぐちゅぐちゅ。
ぐぼぐぼ。
「っう! ああ! そこ、ダメェ‼ タクトく……おねが、ヒャアアッ‼ やらああ!」
どれだけ尻を振ろうと狼の手は放してくれなかった。溺れるように寝台でもがき悲鳴を上げるも、彼の大きな耳には届いていないようで。
ぐちゅぐぽ、ぐぷっと舐める音が耳を犯す。
「あっ、アッ! 変になる……。だぐど、ぐん……。変に、なっ、あああ‼ い、いぐ! ああ、ああ‼」
処理しきれない快感の洪水に、俺は精を放っていた。
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