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第16話 かーわいい
〈タクト視点〉
(かわいいっ。かわいい! 可愛い!)
狼耳フードを被り、注文通り鳴いてくれている彼が。愛しくて仕方がない。
あの穏やかなベリちゃんが。生まれる性別間違ってないかなとたまに思う彼が。こんなエッチな声を出すなんて思ってもなかった。
息が荒くなる。
(こんなの、夢中になっちゃうよ……!)
他のオスに盗られていたらとゾッとする。何故もっと早く、彼を攫ってしまわなかったのか。過去の自分を𠮟りつけたいくらいだ。
(でもいいんだ)
欲しかったベリちゃんは今、俺の前で尻を振っている。俺を誘うように。
応じるように舌でイイトコロを転がしてやれば、きゃんきゃんと吠えてくれる。
時折何か言っているようだったが、夢心地の俺の耳には入ってこなかった。……そのせいで、めっちゃ叱られたんだけどね後でね。
「い、いぐ! ああ、ああ‼」
しかもきちんと達すると伝えてくれるなんて。可愛いお嫁さんだ。イった回数を彫りこんだ首輪をプレゼントしたくなる。何色が好きだろうか。
(おっと)
ぶるるっと身が震え、シーツに白い液が放たれる。
直後に、ベリちゃんは脱力した。ぐったりとして動かない。
(疲れたかな?)
ずるんっと舌を引き抜く。小さく「ぁ」っと鳴いたのが可愛くて、虐めたい欲がムクムクと成長してくる。
「ベリちゃん? お疲れのところ悪いけど、次は俺のを挿れるから……あれ?」
「……」
膝に座らせようと抱き寄せ、顔を覗き込むとくたっと気を失っていた。
衝撃だった。
「えっ⁉ 嘘。寝ちゃったの? そ、そんなに疲れることだった⁉」
取り乱しかけたが、彼女たちの中にも倒れちゃう娘はいたと思い出す。もちろん、三回戦くらい余裕な猛者もいたが……。
「ベリちゃん?」
未練がましく軽く頬をモフモフと叩くが無反応。よく見れば髪が張り付き、汗がにじんでいる。尾のように束ねられた髪は、ほどけかけていた。
「美味しそう(えろい)……」
意識がなくともこの色気。よく今まで無事だったなと強く思う。
「ハッ」
いけないいけない。見惚れていた。幸せな時間だった。見つめているだけでこの幸福度はすごいな、ベリちゃん。
「ゴクリ」
彼をそっと寝かせると、静かに覆いかぶさる。ベリちゃんの顔をわずかに上に動かすと、半開きの口に……
「怒られるかな?」
お尻舐めた後にキスしたら。
人間って、不思議。うんちの何が嫌なんだろう。
「しゃーなし」
そんな人間に惚れたのは自分なのだ。彼らがどうしても無理なことは合わせてやらねばなるまい。
のそのそと、歯を磨きに行った。
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