105 / 106
番外編8
早いものでハワイ最終日だ。明日のお昼には日本に帰る。陸さんと新婚旅行のやり直しということで来て、新婚旅行のときには考えられなかったほど楽しく過ごした。
一番は陸さんがサーフィンをするところを見れたことだろうか。ほんとに陸さんのオフの姿を見れたことが嬉しかった。日本にいる陸さんしか知らなかったら見ることのできない姿だから。
ハワイ最終日の今日はゆっくり起きて、午後からお土産を買いに行く。それぞれの友だちはもちろん、それぞれの親の分を忘れてはいけない。新婚旅行のときは僕1人で買いに来たけれど、今回はもちろん陸さんも一緒だ。
「千景のご両親には買って行くけど、うちにはいらないよ」
なにを買って行こうかと悩んでいると陸さんがそんなことを言い出した。なにがいいのか迷うから、そう思うのはわかる。でもうちの分だけ買って陸さんのところだけ買わないと言うわけにはいかない。
「だめですよ、そんなの。心配かけちゃったからなにか買って帰りましょう」
「なにを買って帰ればいいんだよ」
「わかりません。でも、買わないというのはなしです」
そうは言ったものの、ほんとになにを選んでいいのやら。そんなふうに悩みながら色々なお店を覗いていたら、素敵なタイピンを見つけた。
ブランド物のタイピンなので安くはないけど、お義父様に似合いそうだなと思った。
「陸さん。これ、お義父様にどうですか? お義父様が普段着ているスーツとあわせても見劣りしないと思うんですけど」
普段、仕立てのいいスーツを着ているお義父様だから安っぽいものだといけない。でも、シンプルながら石が使われているこれは見劣りしないと思う。
「いいんじゃないか?」
「問題はうちのお父さんです。こんな高いタイピン、絶対に浮いちゃう」
「そうしたらこれだとどうだ?」
陸さんが指指したのは、シンプルにうねりがあり、石などは使われていないからどんなスーツにも似合う。会社にもしていけそうだ。お義父様のより少し値段が安いのは仕方ない。
「父さんのと価格差がないか?」
「仕方ないですよ。普段着ているスーツが違うんですから。差額はコナ・コーヒーで埋め合わせします」
「そうか。それなら買って行くか」
「はい」
ということでお義父様とお父さんへのお土産は決まった。ただ、それなりの値段はするものなのでお義母様やお母さんへのお土産もそれに見合う価格にしなくてはいけない。そうなるとやっぱりアクセサリーかな? 前回、ハワイアンジュエリーを見たときにペンダントトップの小さなプルメリアのネックレスがあった。あの辺なら使えるんじゃないかな?
「陸さん。お義母様とお母さんなんですけど、プリメリアのネックレスはどうでしょう?」
「プルメリアって花だよな。若作りにならないか?」
「以前見たときにペンダントトップの小さいのがあったから大丈夫だと思うんですけど。多少若いのは仕方がないかと……」
「とりあえず見てみるか」
「はい」
お父さんたちへのタイピンを買い、近くのハワイアンジュエリー店に入る。迷うことなくネックレスのコーナーへと行く。そこには僕が思っていたような小さなプルメリアのネックレスがある。
「この辺がいいかなって思ったんです。こっちだと14金が主流だけど探せば18金や24金もないわけではないので、お義母様がつけるのに安っぽくはならないと思うんです」
「そうだな。これくらい小さければそこまで年齢気にしなくても大丈夫か」
「だと思うんですけど。現に、こちらの女性はつけているわけですし」
「それならここから選ぶか。女性向けのはよくわからないからな」
そう言ってプルメリアのネックレスで18金、または24金のものがあるか訊いた。なかったら14金かな? そう思っていると24金ならあると言う。なのでそれを見せて貰う。一口にプルメリアと言っても微妙にデザインが違ったりするから。
なんだけど、なんだかぴんとくるものがない。うーん、と2人で唸っているとプルメリアじゃないけれど24金の他のデザインを見るかと訊かれたので、とりあえず見てみようと頷く。
そして出てきた中にシンプルなリングがあった。今までも見て来たデザインだけど、これはトップが小さいので年齢を気にしなくて良さそうだ。
「陸さん、これがいいです。お義母様に似合うそう」
「そうか? じゃあ、これにするか」
24金でそのデザインのはちょうど2種類しかないのでその2つを購入した。これでお父さん、お母さんのお土産が決まった。
ともだちにシェアしよう!

