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第3話
「夜はどこか飲みにいく?」
友人の1人が言う。
「馬鹿、おじいさん達と飯食うのが1番だろ?なんせ10年振りだし」
直ぐに別の友人が言った。
「気にせんで良か良か、若っかもんで飲む方が楽しかろう?」
会話を聞いていた祖父が気を利かせたる言葉を言う。
「……精霊流し一緒に見る約束してるから」
「えっ?マジで誰と?」
「朝陽……」
侑斗は朝陽の名前を出して微笑んだ。
ずっと前から約束をしていた。
なのに……次の年には一緒に見れなかった。
その次も……そうやって月日が過ぎて10年。
朝陽とは暑中見舞いや年賀ハガキのやり取りとメール。
頻繁ではなかったけれど、何があったとか、どこに行ったとか色々と送りあった。
◆◆◆◆
夕方前に侑斗は外に出た。
近所を歩くともう精霊船の準備が行われていて、その横を通り過ぎる。
夕方には始まってしまうこの行事は夜遅くまで続く。
出店も出ているから子供時代は楽しかった。
「侑斗」
朝陽の声がして振り向く。
「朝陽……」
顔を見ると嬉しくなって侑斗は微笑む。
「懐かしいね」
精霊船を見ながら朝陽が言う。
「うん」
「花火……する?」
「うん!」
侑斗は朝陽と花火を買いに行く。
駄菓子屋に1本単位で売っているから、かなりの量を買ってしまった。
暗くなるまでブラブラと2人で歩く。
2人で歩くのも本当に久しぶりだ。
中学の時はいつも一緒だった。何をするのも。
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