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第4話
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15歳になった年の夏休み。
いつも通り、侑斗は朝陽と精霊流しを見に行った。
子供の頃から楽しみで、お祭りだと思っていた精霊流しは死者への弔いだと知ったのは小学の高学年くらいで、中学になれば近所の家の精霊船を引っ張るのを手伝ったりしていた。
その年は少し違っていた。
何故なら……侑斗は遠くに引っ越す事を朝陽に伝えなければいかなかったから。
「星座見に行こう」
会場に居た侑斗を連れ出したのは朝陽。
どこで伝えようかと悩んでいた侑斗は朝陽から誘って貰ってホッとした。
朝陽は星座に詳しい。何故なら彼は身体が弱くて派手な遊びが出来なかったから。
体育はいつも見学。
侑斗は元気だったが、スポーツは苦手な方で大人しい朝陽と居ると楽だった。
朝陽に1番初めに教えて貰ったのが北極星。
見付けやすい星座で、1年を通して見る事が出来る。
朝陽は北極星が1番好きだと言っていた。
理由は知らない。
花火を手に星が見える所まで2人で歩いた。
後ろからは爆竹の派手な音が鳴り響く。
高台から見ると精霊船は華やかで鳴らす爆竹の煙でよりいっそう神秘的に見えた。
「上から見ると綺麗だよね」
朝陽はそう言って侑斗に微笑む。
その微笑みにドキッとした。
朝陽は元々線が細いし、外にあまり出ないから色白で……女の子みたいに可愛かった。
可愛いというより綺麗な顔立ち。
いつも一緒だった幼なじみを侑斗はいつの日からか、友達としてではなく……違う目で見ていた。
初めは身体が弱いから助けなきゃだったのに、いつの間にか守ってあげなきゃ……俺がいなきゃ……に変わっていった。
「花火しよ?」
持ってきたバケツには水が入っていて、手持ち花火が消える度にバケツに突っ込んでいた。
持ち寄った花火が終わる前に遠くへ行く事を言わなきゃいけないのに言えない。
残りが線香花火だけになって、「侑斗……話たい事あるんじゃない?」と朝陽から切り出された。
その言葉には驚いた。知っていたのかと。
「おじさんから聞いた」
侑斗を見て寂しそうに笑う朝陽。
その顔が……凄く切なくて、綺麗で……。
「居なくなるの寂しい」と涙を零された時に理性が切れた。
気付くと朝陽にキスをしていたのだ。
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