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11.戸隠さんとカウントダウン⑧
しばらくしてトイレから恥ずかしげに戸隠さんが出てくる。ソファーに座って、俺は手を広げた。
戸隠さんは俺の足の間に座り、おずおずと身を預けてくる。
「お帰り」
「……しないの?」
「緊張してるでしょ? ちょっとリラックスしないと」
ちゅっと軽くキスをする。視線が引き寄せられる。
トロンとした半目と半開きの唇で戸隠さんが無言でキスを強請る。その仕草が可愛い。
「ん……っ」
唇に軽く何度も触れ、食み、重ねて、味わう。舌が互いの腔内に忍び込む頃にはすっかりと体の緊張もほぐれて、戸隠さんが俺にすがりついてきていた。
その体をソファーへと沈める。俺は彼の長い足の間に座り、片足を背もたれに引き上げ、もう片足を床へ下ろす。自然とおっ広げる形になって、布地の少ない下着と体毛の少ない股の間が露わになった。用意していたバスタオルを腰の下に引いてあげて、ローションを手に取る。戸隠さんは恥ずかしそうに顔を背けていた。
ただホテルや風呂場で何度か反応を取り戻し始めた彼の下半身が期待に膨らみ始めている。完全な拒絶という感じではない。
下着の紐をずらして緩んだ秘穴をローション塗れの指で軽く触れる。最初はぴくっとかすかに身を強張らせたがすぐに鼻から抜ける吐息が艶っぽくなる。
「挿れるね」
俺の指先に花蕾がちゅぱちゅぱとおねだりするようになったので、エネマグラを押し当てる。それは難なく中へ飲み込まれていった。
「どう?」
「変な感じ。自分でやったときも、あんまりよく、なくて」
「それは自分でやるとキモチよくなりすぎる怖さから無意識に外しちゃうからですよね」
俺は風呂場で知った戸隠さんのイイトコロを探り、エネマグラの先っぽで触れる。
びくん、と腰から下が違う生き物のように暴れる。その反応に驚いていたのは他ならない戸隠さんだった。
「あ………………なに?」
「ここね」
俺はそこにぐっと位置を定めたまま、ずらしていた下着の細いヒモを元に戻して固定した。
「あ、あ……や…………あぁ! んっ……く……はぁ……ん゛ん゛」
もじもじと戸隠さんの腰が与えられる刺激から脱げようともだえるが、固定された器具の先がその動きによってずりずりと断続的に刺激を与え続ける。
動いても快楽、動かなくても快楽。
俺が触れてもいないのに、戸隠さんは全身をびくつかせて、白い肌を紅潮させ、息を荒くしていった。
「痛い?」
「そうじゃなくて……こんな……あ、あ、イイ……キモチ、いい……変になる……」
潤んだ目で俺を見る。それがゾクゾクするほど色っぽくて可愛い。
俺は力の入らない彼の両手を頭上に縫い止めたまま、もう片方の手で下着の布地を押し上げる欲望に手を這わせる。
一方で豊かな胸にべろりと舌を這わせてから、小さな先を唇で咥える。吸って、甘噛みして、舌で撫でて、押し潰して……。
虐めるたびに戸隠さんは身もだえて、身もだえるたびに俺が撫でる下着の中は堅さを増し、じっとりと濡れていった。
「トロトロだね、美弥さん。見て」
俺は戸隠さんの首元にクッションを置いて敢えて足下が見えるように角度をつける。下着の上から触れた指をゆっくりと話すと、下着と指の間で粘液の糸を引いた。ぐじゅぐじゅと濡れた音がして、また布地から粘液がじゅっと染み溢れてくる。
「眼鏡かけてるからよく見えるでしょ? さっきからずっと下着の布地でお漏らししちゃってる」
「や……っ……恥ずか、しぃ」
「恥ずかしくないよ。可愛い。素直で、すごく可愛い。感じてるんだ。16年ぶりに気持ちいいって。ねえ、家でスるときは、誰を思ってスルの? 美俊さん?」
俺は頭上に縫い止めた戸隠さんの手に力を込める。掌に指を滑らせると、左の薬指にはまった金属の堅さと冷たさに触れた。
「違う……」
掠れた声で、震えながら戸隠さんが俺の耳元へ顔を寄せる。
「………………湊人君……………………好き………………」
熱く湿った吐息の告白。
俺は耳から全身がカッと熱くなるのを感じる。
ああ、このまま抱いてしまいたい。
ものすごく凶暴な欲望で俺のムスコがいきり立つ。でもこのまま挿入したら、自制して優しく抱いてあげられる自信がなかった。切れたりしたら大変だ。
「美弥さん、舐めて。お願い」
手を離し、俺は彼の顔の上で四つん這いになる。下着を下ろしてムスコを取り出す。ねっとりとした舌が筒先に触れ、そのまま粘膜の中へぐっぽりと飲み込まれていく。
その心地よさに意識を持って行かれる前に、俺は戸隠さんの間欠泉に舌を這わせた。視線の先には黒いエネマグラがある。それには小さなボタンがついていた。
ボタンを押す。
「……ぅ、ん゛ん゛ん゛ん゛~~~~!!」
ひとりでに震え出したおもちゃの刺激に、俺のムスコを咥えたまま戸隠さんが呻く。
体中ガクガクと震わせて、彼の欲望は俺の口の中、下着の下で盛大に爆ぜていた。
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