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君と友達になりたいな

中学生の時  僕は数日学校を休んだ。  その理由は風邪と報告した。  先生から渡された連絡票を璃亜武は僕の家に訪れようとしていた。  しかし家の前に立った瞬間怒号と物が割れる音、すさまじい音が衝撃だった。  近所の人によると 「この家の主人が暴れてるらしいからね、近寄らない方がいいよ」と言っていた。 「いつもあるんですか?」 「最近多いかな、酷いもんだよ」 「あの、ここに学生は住んでいますか?」  あの中に琉架がいると思いたくなかった。 「ああ、いないんじゃないかな」  その言葉にホッとした。  じゃぁ琉架の家はどこだろうか。  住所と見比べてもここだし、表札が珍しい名字の琥珀だったから絶対にここなんだけどでも俺はインターホンを押すのをためらってしまった。  明日……明日なら学校くるだろう。  そう思い帰宅した。  案の定琉架は学校に来た。  でもその姿に絶句してしまった。 「あはっおはよう」 「お、おはよう」  眼帯をしところどころ汚く巻いた包帯をし何事もないかのようにクラスに入ってきて自分の席に座っていた。  さすがに他の生徒も彼のことを見ていた。 「おい!! 琉架お前病院には行ったのか?」 「え? なに朝から騒いでるの行ったよ」  そう告げた彼は前を向き準備をしていた。  ……どう見てもこれは自分で包帯を巻いた後だ。  どうしてそんな無茶をするのか  どうして俺に頼ってくれないのか  どうして……  そんな想いだけが俺の心を苦しめた。 「琉架、病院に行こう今からでも遅くないよ」 「はは、なに言ってるの大丈夫だって」  見るからに具合が悪そうだ。  もし昨日聞いたことが本当なら琉架はあの中にいた。  そして罵声と怒号となにかが割れた音その標的が琉架だとしたら……。  ひゅっと息がつまった。 「そこの」 「ん?」 「琉架を病院に連れて行くから先生に言っておいてくれるか?」 「え、わかった」 「ちょ璃亜武!!」  俺は嫌がる琉架を病院に連れて行った。  小鳥遊(たかなし)病院  俺の親が経営しているわりと大きな病院だ。  琉架の意識は朦朧としていた。  朦朧としてるのに意識を保とうと必死になっている姿は見てて苦しかった。  ダメージは俺が思っている以上に大きいようだ。 「琉架!! 琉架!!」  なにも応答がない。  怖い……。  緊急治療室に運び込まれた。  琉架と出会ったのは中2の夏  Ω嫌いのαで無愛想で勉強だけしかしてこなかった俺はクラスでは浮いていた。  今時αをいじめの対象とするバカはいなかった。  合同体育の時に隣のクラスであまっていたのが琉架だった。 「あーもしかして君もあまり??」  俺は答えなかった。 「僕もさ誘導してたらいつの間にか1人だったんだよね、まじ笑えるよね」と声をかけてきた。  こいつβか、Ωだったらまず声かけてこないし 「一緒に組まない?」  βのくせに背は低く声は明るかった。 「背低いやつと組んでも」というと 「ガーン、ショック……まぁでもさ1人よりはマシだろ、それに今日は走りだしね、身長は関係ないよ」 と俺の反対をいう言葉を向けてきた。いや関係あるだろ。でもなんだろ、ふわふわする感じ。  他の日もやたらと声をかけてきた。  はぁー俺も諦めてこいつの傍にいよう。  それに俺とは違う大きな反応に少し面白みがわいた。

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