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第5話
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「多分、もう大丈夫だと思う。ごめんね、騒がせちゃって」
「いえ…びっくりしましたけど、落ち着いてきてよかったです」
岡田さんが亮介さんを担いで戻って来て時、亮介さんの顔色は悪く額には冷や汗が滲んでいた。
聞けば、熱もあって体調が悪いのを隠して撮影をしていたみたいで、今日の暑さで更に悪化して倒れたらしい。岡田さん曰く台風が来てるのに、更に自分の体調のせいで撮影を止めてしまったら迷惑がかかると思って黙ってたんだろうって。
幸い、すぐに岡田さんがここに連れて帰ったから大事には至らなかったみたいでよかったけど、玄関で亮介さんを見た時は予想以上に自分が動揺してしまった。
「ななちゃんが見ててくれて助かったよ。撮影隊は亮介抜きで撮れるとこは撮るって言うから忙しそうだし、俺も今後のスケジュール調整にバタバタだったし、ほんと助かった」
「いや、こちらこそ。無理にお願いして看病させてもらってすいません、俺なんかが気軽に傍にいちゃいけないのに」
「何言ってるんだよ。ななちゃんに看病してもらえて亮介も嬉しかったと思うよ?」
「そんなことないですよ」
「亮介さ、ななちゃんとここで暮らすようになってよく笑うようになったんだよ。きっとアイツにとって、ななちゃんは癒しだし特別なんだろうな…って、そんな気がしてる」
特別……
芸能界って何かと大変そうなのは俺にもわかる。一緒に暮らしてるとそういう事情をたまたま目にする時も。
でも亮介さんはどんな時でも何も言わずに対処してて大人だった。
そんな完璧に見える亮介さんが俺の存在で少しでも癒されているならそれは嬉しいけど、でも嬉しいと思うと同時になんだか切なくなる。
だって、この生活は期間限定であってずっとは続かない…もうすぐ終わるから。
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